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そもそも補正という言葉は、補うこと、具合の悪い所を直すことを意味する二字熟語だ。
減っていく寿命に気付かず、私たちは何も悪い所はないのにと思い込んで、である。
そしてそれにたっくんは気が付いていた、無意識にも善意で動いていた結果、その代償として寿命の受け渡しを勝手に約束されていた。
だから私たち転生者は寿命の長さがコロコロと変動する傾向にあったのだ、寿命は補正でやろうと思えば増やせるらしい。
となると倍速とはいえ実際に生きられる時間は不明瞭だから。
人の寿命が見えるようになってからは、例えば、原作では既に死んだ人達はコロコロと私と同じように変動していた。
例えば、最初に会った聖さんは3倍速で進んでいた。
つまり2人分、誰かを助けたから、その分寿命を減らしていた、いや、消費していた。
寿命が見える人にとっては3倍速で進んでいるようにしか見えない。
そこに間違いはない、ただその対象が助けた人と寿命を共有していたなんて誰が勘づいただろうか。
この辺りは流石たっくんという所だろうか。
そして何人も死ぬ予定のキャラクターを助けてしまった私は言うまでもなく、寿命が早かった。
彼はそれを見越して寿命を遺してくれたということだ。
それでもってもあと数ヶ月だろうが、彼との決着をつけるには十分な時間だろう。
そしてたっくんは何より、補正を使って担当の神様の能力を得ていた、一見地味だが、使い方によっては有利になる裏時計。
人の寿命を完全に見ることが出来る補正。
どう違うのかと言うと、例えば彼は私のコロコロとバグって変動する寿命を、数値化することが出来る。
つまり私の補正の完全版、彼はとっても頭が良かった。
さて、話を戻す、現在私は荒れ果てた塔の下で瓦礫に隠れながら頂上を伺っている。
この真下にある核爆弾の起動はあと十数分、ジャスト12時、ここで踏ん張らないと本当に明日が来なくなる。
たっくんの記憶では、あの最上階には四角形型の核シェルターがある。
地下の爆弾の爆発直後にア/デートと共に大気圏へ出てそのまま長野県の鏡池に落ちるようになっているらしい。
恐らくそこに落ちれば上手いこと時空間の歪みにでも落ちることが出来る様になっているのだろう、憶測だが。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時