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貴方side
「……たっくん……」
動かないままどちらも死んだように眠る……兎の方はもう息絶えているけれど、どちらも息一つしないので焦ってしまう。
魂の分割とか言ってた、たっくんはきっとそれをしたんだ。
両方とも、私を守ってくれていたのだ。
「何だ、こんなに近くに居たなんて思わなかった」
「……」
「どちらも死んでいるのか」
「分からない」
「……?」
「彼は私よりも猫だから」
「シュレーディンガー方程式か」
「そ、私の名前」
「それで、君たちにはもう二時間もないことくらいわかっているだろう?」
「うん、何となく理解してる。
正直、何も実感湧かんと、だって私達もう死んどるやろ、今度は放射能で死ぬのかっていう感じ」
「……君も彼に似ているんだな」
「似てる?
嬉しいなぁ、私、彼が居なくなってから頑張ったと。
彼が居なくても生きていけるぞ、そう考えてたら、私は彼の代用品みたいになってたんよ」
自覚している、私は彼が高校でいなくなったとき、彼に感化されていた私は彼が好きだったそれらにのめりこむようになった。
私こそが本物の亡霊だった。
ドッペルゲンガー。
私達によく似ている言葉。
私たちの名前。
「でも私はこの世界を守らないと」
「?」
「だってここは、神様が用意してくれた私の世界だもの」
タイムリミットまであと2時間。
それが私たちに等しく分けられた寿命である。
この機械の前ではとても抗えない。
「私達にはきっと、明日がある」
「もう来ないさ、もう、ね」
00:38:41
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時