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貴方side
彼は、頼りない体を震わせた。
それに何の意味があるかは分からないし、もしかしたらないのかもしれない。
私にはそれが、泣いてるように見えた。
それが私に気付かせる、私の時間が、否、寿命が消えかかっていること。
私は馬鹿だ、ああ、彼を泣かせてしまった。
重くなった瞼を擦って彼を掌に乗せる、袖口は湿っていた。
「たっくん、たっくん。
ごめん、泣かせる気はなかったと。
たっくん、知っとるんやね、いいんよ、それは罪じゃない。
たっくん悪くないんよ……」
「……キィー……」
「たっくん、私頑張るけん、な、頑張るけ、見守っちょって、私、もう負けん」
「……」
「もうたっくんに守られてばかりの私じゃない、大丈夫、ここは私の世界やもん。
坂口さんとたっくんに会った時に自慢するんだあ、ここは私が守った世界戦だって、それでね、みんなで色んな所行って、私が大人になったらいっぱいお酒飲ましてもらうと!
もう、たあっくさん、やることあんの」
「私、楽しかったんよ、生きることなんてあんなに苦しかったのがウソみたい。
やけね、大丈夫、ちゃんと守れる」
近くの大きなテレビのある塔から九時になったと無機質な音が流れた、自然と体がそちらに向いて、私たちは顔見合わせた。
「いこうか、たっくん。
これは私たちの、最後の聖戦だよ」
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時