光に熔ける 【名探偵コナン】

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「……すごい改造っぷり、ね」


一般人立ち入り禁止の書かれた立て札とバリケートを難なく飛び越えて、そう呟いた。


あの塔程とは言わないけれど、この鉄塔も十分大きい、起動こそしているものの、待機状態と言うべきか。


ただこれは流石におかしい、常人が遠目で見たら気づかないだろうが、機械に詳しい補正持ちの私は理解してしまった。


「塔に、電力が奪われてる」


「くぅ」


成程、たっくんが言いたかったのはこれだった。


付近の電力施設の大会社の爆発とその付近の暴発はこれのカモフラージュか。


だとすると中継地に接続されたこの怪しげなコードを切ってしまえば、最悪の場合は回避出来ると。


ただ、


「このコードを切ったところで、あの塔にある電源が切れる訳じゃないし」


言ってしまえば非常電源もある、それにDOPPELのことだ、他からも電力を奪って居るだろう。


それに今切ってしまえば完全に外部からの接触があったとバレてしまう。


だが、やってみる価値はある。


少し時間がかかるけれど、これで少しは時間が稼げるだろう、この電力施設の起動を止めて、このコードを切る価値は十分にある。


「……キィ……？」


「……大丈夫、大丈夫だよ。


なんとかなる」


私は又ビルの上を走って、付近の電力会社へ急いだ、人がいないことを確認して、供給を止める、念の為ブレーカーも落として、その場所を去った。


……正直、こんな所でパルクールが役に立つとは思わなかった、“暗殺者の身の熟し”の補正があるので気づかれることも滅多にない。


我ながらよくやった。


時計を見ると既に9時前を指していて、より一層足を速めた、集中力が分散して焦燥に駆られる。


「たっくん、大丈夫だよ。


坂口さん、絶対助けてみせる」


「………………(そんな顔しなくたって)」

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