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貴方side
「ああもうっ、……!
カッコつけて空飛んだはいいもののやっぱビルの瓦礫めっちゃこっちくるんだけど!」
「ポー」
「バカだって?」
たわけ、と乗っている相棒に吐き捨てた、そのやり取りに満足した様で彼は上機嫌にスピードを上げ始める。
夜空を駆け巡る黄金の鳩、私達はとっても目立っていることだろう、しかしスピードは落とさない、人の命が懸かっているから。
万が一その命を助ける為に他の命を犠牲にしなければならないとしたら、もしくはDOPPELを私が倒さなければならないとしたら。
私があの電車の中で見た記憶。
殺された妹と乗客、殺したテロリスト1名。
例えあんな状況になったとしても、私は何度だってやり直すくらいの覚悟だ。
人を殺したという現実も相当、だがそれ以上に守らなければならないものがある。
私が守らなければならないのだ……。
「……っと、電話?」
片手で鳥山さんのハーネスを掴み、もう片方で器用に携帯を操作、電話の相手はベルさんだった。
「はいこちらロブロイ、ベルさんこんな非常事態に如何しました」
「ねえSugar、ジンを見てないかしら……!?」
「……その様子だと」
組織の幹部の1部に収集が掛かっていたのだろうか、少なくとも私には来ていない。
しかしジンは……あ。
「……すみませんが見てません」
「そう……ところでSugar、貴方今何処に居るの?」
「黄金の鳩に乗って空を飛行中です」
「如何して?
貴方今凄く危険な状況に置かれてるのよ?」
恐らく。
「それでも、時にはやらないといけないことがあるんですよ」
じゃないとわざわざ私に聞いたりしない、彼奴は一足先にあの塔の中に行ってしまったんだ。
でも如何して?
其処に何か重要なものがあったのか?
私はそう言い残してから電話を裏ポケットにしまって両手でハーネスを持つ、はぁ、と思いっきり溜息を吐いておいた。
守るものがあればその分動きづらくなる、これはどんな戦いにおいてでも鉄則だ。
「……背に腹はかえられぬってね」
賽は投げられた、ということである。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時