ETERNAL after story

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早く１６歳になりたい。

１６になれば、太ちゃんの家に遊びに行ける。
家の中に入れてもらえる。

私が小さい頃にそう言ってくれた言葉、今でも忘れてないから。

だから早く１６歳になりたい。

ママが初めて本気で誰かを愛した年と同じ１６歳に。

パパもママを本気で好きになったのは高校生の時だって言ってた。

きっと太ちゃんも...なのかな。

高校生になれば、この恋に説得力を持たせることが出来るなら、それまで我慢したっていい。

ずっと我慢してきたんだから、後３年ぐらいどうってことない。

でもその前に。

こんな風に理由なく避けられたままなのは絶対に嫌だった。

顔も見たくないくらい嫌われてるなら仕方がないけど。

太ちゃんが一体何を考えてるのか知りたい。
太ちゃんに逢いたい。
逢いたい。

だけど。

ママに訊いた太ちゃんの住むマンションへ勝手に行って、もし太ちゃんの恋人と鉢合わせしたらどうしようと不安になる。

だからと言って高校の門の外で待つのも同じことだと思えば、何処で太ちゃんを捕まえたらいいか分からなかった。

鉢合わせしたら潔く戦う？

私の太ちゃんを取らないで！って宣戦布告すればいい？

なんて。

そんなことしたら嫌われるのは私の方だってきとくらい理解る。

早く大人になりたい。

どうして私はまだ子どもなんだろう。

こんなに太ちゃんが好きなのに。
大好きなのに。

不戦敗なんて嫌なのに。

大人の女と同じ場所で戦えるまで後もう少しなのに。


＊


塾が終わった金曜夜の２１時３０分。

私は上手く行くか分からなかったけれど、思いきって太ちゃんにLINEをした。

『太ちゃん助けて。お腹痛くて歩けない』

自分でも見え透いた嘘だと思ったけれど、それ以外思い付かなかった。

『ママとパパ、ユウは？』

すぐに返事が来て泣きたくなる。

『皆出ない』

確認されたら終わりだけど、それならそれで仕方がない。

『今何処？』

『塾の前』

『すぐ行く』

そこでLINEは途切れた。

本当に来るか分からないまま、塾の前でしゃがみこんで太ちゃんを待った。

本当はね、お腹じゃなくて胸が苦しいの。
太ちゃんに逢えなくて、心が痛いの。

太ちゃんに逢いたい。
早く逢いたい。


「Aっ」

懐かしい声と共に、甘く良い匂いが鼻腔を擽る。

「太、ちゃん」

顔を上げた瞬間、視界が滲んでいく。

太ちゃんの顔を見るのは３ヵ月ぶりなのに、上手く顔が見れない。

太ちゃんがチッと舌打ちしたような気がした。

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