8 F ページ36
固い蕾が開こうとしている花は、どんな美しい色を見せてくれるのだろう。
固い蛹から孵化しようとしている蝶は、どんな美しい羽を広げて、空に旅立つのだろう。
北山とキスを交わしていたAの顔が脳裏から離れない。
初めて見る、Aの女の顔。
はっとする程、綺麗で、艶かしくて思わず息を飲んだ。
すぐに北山の胸に顔を埋めたA。
悪びれることもなく、俺を真っ直ぐに見る北山に、
「まだいたのか。早く帰れよ」
そう言うことしか出来なかった。
高校生同士の真剣な恋愛。
まさに願っていた通りに。
生まれた時からいつも傍にいた家族以外の俺を慕う気持ちを、恋だと勘違いしていることに早く気付けばいいと。
俺以外の男を見て、知って、目を覚ませばいいと俺はずっとそう思っていた。
Aの為に。
だからこれでいいんだと自分に言い聞かせる。
北山は、自分で過剰にチャラさを演出しているところがあるが、根は真面目な男だから心配はない。
似ている2人。
橙色に染まった部室の中で、キスを交わす2人は、まるで映画のワンシーンのようにお似合いだった。
準備室に戻り、ドアを閉めた瞬間、俺は壁を拳で殴りつけた。
「クソッ」
感情が理性を凌駕しそうになるのを必死で抑え込む。
頭から離れない光景。
「クソッ」
嫉妬でおかしくなりそうな自分が情けなくて。
北山があいつを女に...?
その時、準備室のドアが物凄い音を立てて開いた。
ドアの方を見れば、今にも泣きそうな表情で仁王立ちしているA。
「お前今ドア蹴破った?」
登場の仕方がまるで道場破りの浪人みたいで、可愛くて、可笑しくて、思わず笑みが零れてしまう。
けれど内鍵を掛けたAの行動に、嫌な予感がする。
「もうすぐ完全下校時刻だぞ、早く帰れよ」
「太ちゃん!」
思い詰めたようなAの顔。
Aの言葉を聞くのが怖かった。
だから俺から先に予防線を張った。
「邪魔して悪かったな」
正直、北山がAを追いかけてきてくれて良かったと思った。
もし来なかったら、それでも俺はちゃんと教師でいられただろうか。
Aの幸せを誰よりも願う兄のような存在でいられただろうか。
俺は2人が部屋を出ていった後、ずるずると床にしゃがみこんだ。
いい加減、限界なのかもしれない。
俺はもういい加減、全てを絶ち切って結婚すべきなんだろう────。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時