5 F ページ27
Aが3年の女子とやりやったという噂は、何となく俺の耳にも届いてきて。
それも、生徒会長の北山を巡る争っての争いとかそうじゃないとか。
Aが北山の彼女の林に宣戦布告したとか、しないとか。
5限目の空き時間。
屋上で煙草の煙を燻らせながら、俺は深い息を吐いた。
あながち、事実無根てわけじゃないんだろう。
火のない所に煙は立たないもんだし。
俺から見ても、部活でのAは、北山とどんどん距離を縮めているように見えた。
ずっと俺のことだけを見ていたはずのAが、北山と話しながら楽しそうに、嬉しそうに笑う。
いつも北山の行射をじっと見つめているA。
矢が離れた後の残心まで、Aは北山から決して目を離さない。
言動はちょっとチャラくて軽いけれど、根は真面目で、努力家で、面倒見が良く、裏表のない性格の北山に、Aが惹かれるのも理解るような気がした。
2人の性格は似ているから。
そして何よりも。
北山は、Aの母親が昔付き合っていた妻帯者の男に顔も雰囲気も良く似ていた。
初めて入学してきた北山を見た時は本当にびっくりした。
あいつの子どもかと思ったくらいに。
血は、争えないんだろうか。
北山にAを取られるんだろうか。
取られるも何も、Aは俺のモノじゃないけれど。
もやもやした気持ちに、押し潰されそうになる。
俺は何をこんなにも苛立っているんだろう。
自分からAを突き放しておいて。
同じ年頃の奴と恋をしろなんて、もっともらしいことを言っておきながら。
*
「太ちゃんっ」
空耳かと思った。
「太ちゃんっ、あのね、違うから」
フェンスに凭れていた俺に後ろから抱きつくA。
「お前な、またサボったのかよ」
言葉とは裏腹に、情けない程優しい声が出てしまう。
「私、北山先輩とは何でもないから」
「いいんじゃない?北山は教師の俺から見てもイイ男だと思うし」
「それ、北山先輩と付き合えばいいって言ってる?」
「まぁ、応援してるよ」
曖昧な俺の言葉に、Aが密やかに笑った、
気がした。
「それが、太ちゃんの答え...。結局16になったって、私じゃ駄目だってこと...なんだよね」
俺からゆっくり離れるA。
俺は怖くて後ろを振り向けなかった。
振り向いたら、引き留めてしまう、そう思ったから。
この腕に閉じ込めてしまうって。
やがてAの気配が消え、あいつの残り香が俺を酷く苦しい気持ちにさせた──
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時