ETERNAL after story

4 Ki ページ26

朝、教室に着いた途端、愛理がいつも一緒にいる女子達に腕を引っ張られて廊下に出される俺。

「何だよ朝から。物騒だな」

「昨日愛理から何か訊いた？」

「いや、なんも」

「やっぱ愛理は我慢してるんだ、可哀想」

話が全く見えない。

「俺朝練行きてーんだけど。お前らも早く用意しろよ」

俺が促すと、

「もうすぐ引退だし、朝練なんかいいってば。それより、宏光、愛理と上手くいってないの？」

「はぁ？」

てか、一体何の話だよ。

馬鹿馬鹿しくなった俺が立ち去ろうとすると、後ろでぎゃんぎゃん、１年の女子の玉森がどうのって喚いてる。

「玉森？Aがどーかしたのかよ」

「Aとか呼ばないでよ、苛つくから」

「こえーな、先輩女王様方は」

俺はとりあえず、一番熱くなっている里穂から話を聞いた。

「なるほどねー」

「あんな女に引っ掛かんないでよ、宏光。性格クソ悪いし」

こいつらに性格悪いとか言われたくないだろーな、Aも。

苦笑しながら心の中で嘯く俺。

「女がクソとか言うなよ」

俺はその光景を思い浮かべて、吹き出しそうになるのを必死に堪えた。

きっと勇ましく啖呵を切ったんだろうな。

にしても。

俺のことが好きっていうのは単なる挑発だろう。

「あの子１年のくせに、宏光を好きとか図々しいにも程があるよね」

「俺は、んな大層な人間じゃねーよ」

話が面倒くさそうになってきたので、俺は早々に退散し、弓道場へ急ぐ。

「A、聞いたぞ、昨日の武勇伝」

朝練なんて、いつものようにAぐらいしかいないと思い、弓道場へ入るなり話しかければ、

「宏光っ」

俺に抱きついてきた愛理。

「愛理、いたのか」

「いちゃ悪いの？」

「いや、朝練なんて珍しいなと思って」

「後で大事な話があるの。部活が終わったら一緒に帰ろ？」

「ああ、分かった」

愛理に抱きつかれたまま、素引きしているAを見れば、

うわぁ、見事に乱れてやがる。

面白いくらい、内面が射形に現れるAが何だか可笑しかった。

あいつ見てると飽きないんだよなぁ。

綺麗な容姿に似合わず、意外とド根性系だし、気も強いけど、素直で真っ直ぐで、洗いざらしの真っ白なシーツみたいな素朴さと美しさがあって。

俺の色を染みこませたくなるっていうか。

て、まるでヘンタイ発言だな。

恋人に抱きつかれながら、他の女に見惚れている自分はなんて最低な男なんだろう。

5 F→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す