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「なら...ここで、この屋上だけでいいから、王子様じゃない太ちゃんを見せてよ...」
「ここでって言われれも...お前が来ていい場所じゃないんですけど、ここ」
「そんなの太ちゃんも一緒じゃない」
「あのな、担任が授業サボりを見逃せる訳ないだろー、我が儘言うなよ」
「じゃあどうしたら」
泣くかなって思った。
でも仕方がない。
教師と生徒という関係は、一見近いようだけれど、お前が思うよりもずっと難しい関係なんだよ。
指導者、教育者って立場だし、こんな俺でも一応は。
「不戦敗なんて嫌!」
突然、Aが俺を押し倒し、俺はあやうくコンクリートに頭を打ち付けるところだった。
「俺を殺す気?」
「不純イセイ交遊で捕まるのを恐れてるの?」
聞いてないし。
「それ以前の問題だろ」
俺の言葉にAの顔が歪んだ。
「それ以前て...ただ単に迷惑ってこと...?」
「まぁ、俺の立場を考えれば、そうなるよな、普通」
「立場、立場って、太ちゃんの気持ちは?太ちゃんがもし先生じゃなかったら?そしたら私と恋愛してくれたの?」
俺が、教師じゃなかったら?
教師じゃなかったら、高校生のAと恋愛?
中学生のAに、高校生になったら女として見てくれと懇願された時、俺はAをとっくに子どもだとは思ってはいなかった。
けれど、大切で、大事な妹的存在から、違うものへ変化してしまうのが怖くて、俺はAを遠ざけた。
先送りにした答えは、結局Aが高校生になった今も出てはいない。
今の恋人とも結婚に踏み切れないまま。
迷惑じゃない。
迷惑だ。
どちらも口にすることが出来なかった。
傍にいて欲しくて、
離れて欲しくて。
女として見れるかと訊かれれば、迷いなく、見れると答えられる。
だけど。
だけど恋愛出来るかと訊かれればノーだ。
それは俺が教師だから、じゃない。
Aを見る度に、あの人を重ねていることに気付いたから。
そのくらいAは母親に似ていた。
俺の心を一気に過去へと引き戻し、掻き乱す程に。
だから俺はAに冷たくしてしまう。
もう小さい頃のように優しくは出来ない。
これ以上近付いたら、自分が深い闇に堕ちていくような気がして。
Aを酷く傷つけてしまう気がして。
だから俺は動けない。
相反する想いに挟まれて、1歩も。
「答えてくれないのは、まだ希望ありって勝手に解釈するね」
Aが小さな声で、呟いた。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時