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Aとの約束に返事をした訳じゃない。
別に守る必要もない約束。
それでもあの時のAの言葉は、俺の心に深く突き刺さり、呪縛のように消えることがなかった。
そろそろを結婚を、と迫る彼女と彼女の両親に申し訳ないと思い、俺は別れることを決めた。
恋愛は男も女も幾つになっても出来るが、出産にはリミットがある。
それを思えば、男より女の方が結婚に焦るのは仕方がない。
彼女が悪いとは思わなかった。
悪いのはいつだってそこまで熱意のないまま誰かと付き合う自分だ。
「ごめん、俺まだ結婚は...」
そこまで言うと、彼女は俺の唇を指で塞いだ。
「嫌、別れたくない。私のこと嫌いになった?」
「嫌いになんかなってないよ」
ただ結婚するってことがイメージ出来ないだけで。
家族になるっていうことが想像できないだけで。
俺の心は何かが欠けているのかもしれない。
昔からずっと。
だから、欲と金と寂しさが渦巻く夜の世界を自分の力で強く生きていたあの人に夢中になった。
あんなバイトにも夢中になった。
「もう少しだけ待つから」
俺は頷くことしか出来なかった。
*
Aは約束通り、あまり俺に連絡をしてこなくなった。
近況報告みたいなものは時折あるけれど、逢いたいと言ってくることはなくなった。
距離と時間が、俺に対するAの気持ちを変化させつつあるのかもしれない。
それならそれで構わない。
俺のことなんか忘れて、健全な男と幸せな恋をすればいい。
俺は自分の胸の痛みに気づかない振りをした。
季節はあっという間に巡っていく。
そんなある日、玉から久しぶりに連絡があった。
「ガヤ、Aが高校に受かったんだけど」
「おお、おめでとう」
もうそんな時期か。
時の流れの速さを感じて驚いている俺に、玉はもっと驚くことを言った。
「A、ガヤの勤める高校にしか行かないって、他は全部白紙で出したんだって。A本人から聞いて驚いたよ俺」
え...?
Aが俺の高校に?
「──ヤ、ねぇ、ガヤ聞こえてる?」
携帯電話の向こうで、声を張り上げてる玉の声が聞こえて、はっと我に返る。
「ああ、ごめ、聞こえてる」
「ごめんね、ガヤに色々頼んだのに、結局こんなことになっちゃって」
「いや...」
A、お前は、
お前って奴は本当に...
「ふはっ、ふははは」
「ガヤ?」
「いや、ごめ、何でもない」
俺の予想を裏切る凄い女だよ。
俺は鼻の奥がツンとするのを感じて、慌てて鼻を擦った。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時