11 F ページ11
正直、自分で自分の行動が信じられなかった。
彼女の家で過ごしていた金曜の夜。
夕飯を食べ終わり、シャワーを浴びて、2人でソファーに座ってテレビを見ながら、何となくそんな雰囲気になって、キスを交わしていた時、携帯電話の通知音が鳴った。
「太輔、携帯...」
「ん、分かってる...」
舌を絡めるキスをしながら、テーブルに置いてある携帯を手にする。
チラリと画面を見たら、Aからだった。
「ちょっとごめん」
申し訳ないと思いながら、上気した顔の彼女から顔を離して、LINEを見ればAからのSOS。
慌てて何度かやり取りしていると、
「何かあったの?」
心配そうな彼女に、ちょっと母親の具合が悪いらしいから実家に見に行ってくる、と嘘をついて立ち上がった。
「私帰った方がいいよね?」
彼女の言葉に、
「あ、いや、大したことなかったら戻って来るかも...」
俺は曖昧に答えて、車のキーを取って部屋を飛び出した。
Aの通う塾の近くの路上パーキングメーターに車を停めて、入り口にしゃがみこんでいるAに駆け寄る。
「Aっ」
久しぶりに呼んだ名前に胸が苦しくなった。
ゆっくりと顔を上げたAの目は涙を湛えていて。
それでも嬉しそうに俺を見つめて口元を綻ばせるから。
そのあまりに健気な表情に、
俺の名を呼ぶ小さな唇の可愛らしさに、
そして俺を見つめる朱に染めた目元の色香に、
俺は思わず見惚れ、そんな自分を打ち消すように、舌打ちした。
Aは中学生で、
可愛い妹的存在で、
親友の娘で、
なのに。
「私、太ちゃんに何か嫌われるようなことしたのかな?してたなら謝るから、だから教えて、避けてる理由っ」
くそっ、何で。
何でそんな、いつまでも盲目的に俺を慕ってんの。
男を煽るようなことを言ってくんの。
俺はAが思ってるような男じゃない。
優しくかっこいい王子様なんかじゃない。
お前は知らないだけ。
まだ子どもだから知らないだけ。
恋に恋してるだけ。
「A、もう小さい時みたいに一緒にいることは出来ないよ」
「どうして?私、何か困らせるようなことした?言った?付き合って、なんて言ってない。太ちゃんに恋人がいるのも知ってるし」
「それでも」
俺は諭すようにAの目を見つめた。
「中学生のお前が、いい年した赤の他人の男と、しょっちゅう遊ぼうとしたら駄目だよ」
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時