検索窓
今日:24 hit、昨日:108 hit、合計:626,658 hit

六話 ページ8

鶴丸視点



今日、俺達第一部隊は厚樫山に出陣している。



まっ、今日とは言っても毎日の事だがな。全く驚きが無い。

出陣できるのは嬉しいが、面白みに欠けるぜ。



「…………殿。鶴丸殿?」


「ん、すまない一期。どうかしたか?」


「いえ、如何と言う訳では無いのですが。

然し、仮にも出陣中ですぞ。そのように呆けられるのは如何な物かと」


「相変わらず堅いなぁ、君は。俺は考え事をしてただけだぞ?呆けては…………

おっと、すまん」



どん、と前を歩いていた伽羅坊にぶつかり、俺は軽く謝罪をする。

然し伽羅坊は、俺の謝罪を受け取る訳でも不機嫌そうに俺を睨む訳でも無く、ただ前を凝視する。



よく見れば、前を歩いて居た奴らが全員同じ様に前を凝視したまま動かない。

隣でさっきまで談話していた一期も同じ状態になっている。



俺はその様子に不信感を抱きながらも、大層な驚きを期待して前を覗き込む事にした。



「なんだなんだ?三日月でも落ちてたのか?」



俺はひょいと伽羅坊の脇に逸れて前を確認する。



開けた視界から目が映し出したのは、あまりに美しい緑と、其れを毒々しく彩る紅だった。



その白い肌が避け、溢れ出ていく紅すらも美しく思える程の美。

一番美しいと謳われる三日月も美しいが、あれとは別の美しさがあった。

思わず息を呑む。



然しそれよりも、広がる血の海の中心で倒れ伏すその姿が生きているようにはとても見えず、俺から血の気が引く。

だが、呆然としている訳にはいかない。



「ッ、今すぐに帰城するぞ!一期が鶯丸を担いでくれ。急ぐぞ!」



今、止まっていた時間が流れ始めたかのように動き出すこいつらに習い、俺も帰城するために急いだ。

七話→←五話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (272 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
581人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リオン♛ - 四十話の仕組み凄いですね❗ (2022年7月28日 9時) (レス) @page43 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
梨の子(プロフ) - 今更ですけど青くして調べるって押したら出てきましたよ!! (2021年7月23日 10時) (レス) id: 52f349caa9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 彼岸花さん» あれ?なんででしょう……? (2018年10月24日 16時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 四十話の文字を選択で青くしても見れませんでした… (2018年10月24日 3時) (レス) id: da7e05a086 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 阿国さん» いえいえ、こちらこそこの作品をご愛読下さり有難う御座います! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。