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四話 ページ6

A視点



『ぜぇ、ぜぇ………ゴホッ、がはっ………』



偶に咳き込みながらも俺は浅い呼吸を繰り返す。



周りには遡行軍の死体が転がり、噎せ返る様な血の匂いがした。

だが、今はそんな事は如何でも良い。



ただ、それでも、今生きている事が嬉しかった。



………結果から簡潔に言うと、時間遡行軍VS俺の戦いでは俺が勝った。



勿論無傷とは行かず、俺は多分中傷ぐらいの怪我を負っている。痛い。



ただ、俺は剣道とか習った事も無い素人だ。

それなのに勝てたのは、なんというか、こう、勝手に身体が動いた?と云うか………



まぁそんな感じの、戦い慣れている様な感覚となんかもう凄い身体能力で上手く戦えたのだ。

きっと今俺が鶯丸になっているせいだろう。刀剣ってすげー。神様ってスゲー。



だが、今の戦いで更なるコツが掴めた様な気がする。

きっと次からはもっとうまく戦えるだろう。



………俺何時から武人になったんだっけ………



深い溜息を吐きながら、然し俺は考える。



興奮の所為かそれとも俺が今鶯丸である所為か、俺は痛みを思ったより感じていない。



なら熊や更なる敵が来ないとも限らないし、この状態が続くうちに少しでも移動しよう。

安全な場所なんてあるか分からないが、寝床ぐらいは見つけなくては。



付喪神に食事とか睡眠とか必要なのか?いやでも身体は人間だし必要なのか?



とかも考えながら、痛む身体を何とか動かして少しずつ移動する。



一応川沿いに下流に向かって移動する。運が良ければ山を下りれるだろうし。



こんな感じの事を聞いた事が有った様な。知らんがな。



そんな感じで草をかき分け歩いて行くと、いい感じの木陰を見つける。

なんかもう、漫画とかで出て来そうなぐらい休み易そうな木陰だった。



身体に限界を感じていた俺は、その木陰に転がり込んで幹に体を預けて座る。



ああ…………楽だ…………



束の間の休息を楽しもうとしていた矢先の事。



また時間遡行軍が現れた。

それも、六体程度ではない。ざっと見て三十体はいるだろう。

然も、短刀や脇差、打刀だけでなく、太刀や大太刀、槍も混じっている。



『………嘘だろ………』



然し絶望している暇はない。



俺は素早く立ち上がり、刀を抜いて構える。

そして、鶯丸の台詞を借りて呟く。



『逃げたいが、逃げられんのが役目という物でな…………』



そして、痛みや怪我など関係ないと己が出せる限りの力で敵に突っ込んだ。

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リオン♛ - 四十話の仕組み凄いですね❗ (2022年7月28日 9時) (レス) @page43 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
梨の子(プロフ) - 今更ですけど青くして調べるって押したら出てきましたよ!! (2021年7月23日 10時) (レス) id: 52f349caa9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 彼岸花さん» あれ?なんででしょう……? (2018年10月24日 16時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 四十話の文字を選択で青くしても見れませんでした… (2018年10月24日 3時) (レス) id: da7e05a086 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 阿国さん» いえいえ、こちらこそこの作品をご愛読下さり有難う御座います! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月15日 19時

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