十一話 ページ13
A視点
あの後、布団から体を起こそうとすれば「まだ寝ていろ!!」と大包平に言われ、平野に甲斐甲斐しく世話をされたりしながら他愛もない話を聞く。
鶴丸の悪戯がどうだとか、光忠と歌仙の料理がどうとか、そんな他愛もない話。
まぁ、俺は人間の一般人出身だし何も話せないんだが。
そう思った矢先。
「そう云えば、鶯丸様の本丸はどの様な所だったのですか?」
この様な質問をされて俺はとても困った。物凄く困った。
然も平野は満面の笑みだ。断りずら過ぎる。
「平野」
「はい…………あっ。
う、鶯丸様、あの、そう云う訳では…………忘れてください!」
大包平が珍しく静かに名前を呼んだと思えば謝られたんだけど。えっなんで?
何?俺そんなに困った顔してた?じゃあ取り敢えず弁解しとこ…………
『いや、気にしていない。大丈夫だ。其れよりも、大包平がバカやってる話を聞かせてくれ』
「おい、莫迦とは何だ莫迦とは!莫迦と云った方が莫迦なんだぞ鶯丸!!」
『はいはい』
揶揄い甲斐があって癒しもされる、大包平は最高の愛玩動物(刀)だ。鶯丸が観察するのも分かる。
此れでイケメンじゃ無ければなぁ…………
そんな風に俺が微笑ましく思いながら見守って居ると、大包平が少し畏まって云う。
「鶯丸。お前に会って欲しい者が居る」
『なんだ?大包平にも遂に春が来たか?』
そう適当に揶揄えば、「違う!!!」と叫んで、そして少し迷って、意を決した様に言った。
「…………主に、会って欲しい」
『…………主とは、あの男の事か?』
「ああ」
主、つまり兄貴だよなぁ…………でも俺の手入れしたの兄貴だよなぁ。
助けてもらった手前、何も言えねーしな…………会うかぁ。
俺のその微妙な心境を読み取ったのか、大包平は兄貴(審神者)を庇う様な事を沢山言ってくる。
確かに主は普段こそロクでも無いが、お前を傷つける様な事はしない、とか。微妙なフォローだが。
ていうか大包平さん、さっきから俺の心境読み過ぎじゃないッスかね?
まぁ、世話になっているので礼儀として普通に会うが。
兄貴が審神者なんてしている訳ないので多分別人だろうと思う事にして。
『大包平、そう心配せずとも私は審神者と会うさ。礼も言わねばならんしな』
「そうか。ならば、伝えて来る。大人しく待っていろよ!」
『はいはい』
大包平は愛玩動物、そして意外に聡い。
俺の心の日記帳にそう書き留めておいた。
581人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リオン♛ - 四十話の仕組み凄いですね❗ (2022年7月28日 9時) (レス) @page43 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
梨の子(プロフ) - 今更ですけど青くして調べるって押したら出てきましたよ!! (2021年7月23日 10時) (レス) id: 52f349caa9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 彼岸花さん» あれ?なんででしょう……? (2018年10月24日 16時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 四十話の文字を選択で青くしても見れませんでした… (2018年10月24日 3時) (レス) id: da7e05a086 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 阿国さん» いえいえ、こちらこそこの作品をご愛読下さり有難う御座います! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年9月15日 19時