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「……あ、いた。」
「…Aちゃん？」
「うん、Aちゃん。」
屋上へ続く扉の音を抑えるでもなく、足音を最小限に留めるでもなく。
初めてシャオロンくんと出会ったあの日を彷彿とさせるような足取りで、わたしは屋上へと踏み入った。
さんさんと降り注ぐ日差し、唯一の日陰であるペントハウスの壁に背中を預けるシャオロンくんとの距離は思っているよりも近い。
ぎゅうと寄せられた眉間のしわには違和感しかなく、頬を伝う一筋の涙がシャオロンくんの想いを物語っていた。例えるなら…なんだろう。
限界まで水を注いだコップだろうか。表面張力が働き、なんとか水を零さなかったコップ。
それには、ちいさな衝撃すらも毒でしかない。
そう、切っ掛けさえあれば零れてしまいたいんだろうな。
「みてたよ、試合。」
「…ん、」
「す〜〜っごくかっこよかった。」
「おん、格好いいところ見せたくて呼んだしな！かっこよかったやろ、俺」
「うん、ほんとうにかっこよかったよ。」
きっと、瞳の中でじっと太陽を、地面を見据えていた向日葵は、今にも泣き出してしまいたかったんだと思う。
俯いた顔、蜂蜜色の瞳から絶え間なくあふれる涙と、それを拭おうともしない手のひら。
えぐえぐとしゃくりあげる声ばかりが屋上には響いている。
皮肉だな。
何もかもがあの日の使い回しみたいだったから。
もちろん、あの日のようにシャオロンくんがわたしに噛み付いてくることはないし、泣いている理由だって違う。
けれど、どうしたいいかわからないと喚く子供のように泣くシャオロンくんは、わたしたちが出逢ったあの日となにも変わらない。
「シャオロンくん、こっちみて」
「…っう、ぅ、なに、っ？」
シャオロンくんの前にしゃがみ込む、あの夏の日よりもずうっと距離を縮めて。
顔を上げたシャオロンくんの距離は随分と近くて、わたしは驚くよりも先にけらけらと笑ってしまった。
光ばかりを吸い込むシャオロンくんの瞳いっぱいにわたしだけがいて、うれしいようで、どこか気恥ずかしい。
不思議そうに「どしたん、Aちゃん。」と、辿々しく言葉を紡ぐシャオロンくんに、下手くそなりに精一杯の笑顔をつくる。
そうだな、
「いつかのシャオロンくんが、わたしのこと見てたら落ち着くって言ってたから。」
驚きを隠さず、こぼれ落ちそうなほど瞳を大きく見開いたシャオロンくんは「なんそれ」なんて言ってけらけら笑った。
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。ﾏﾙ(プロフ) - 星空さん» コメントありがとうございます◎わ〜とてもうれしいです！たくさんきゅんを摂取していってくださいね！ゆっくりにはなりますが、更新の方頑張りますので、ゆるっと応援お願いします。 (2020年8月20日 6時) (
レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - もうめっちゃ心臓がキュンってします……！！好きですありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))私もこんな青春したい(´；ω；｀)この小説でドキドキ摂取してます(？)これからも無理せずに更新頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 3時) (レス) id: df42e0e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - デデドン！さん» コメントありがとうございます◎ゆるゆるになりますがこれからもがんばります…！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - トドルゴンさん» コメントありがとうございます◎ほんとうですかうれしいです〜！(T . T)きっと心臓きゅって掴んだまま離しません！どうか引き続きよろしくお願いします。 (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
デデドン！ - めちゃくちゃ文が綺麗で好きです、、これからも頑張ってください！ちゅっ！！ (2020年8月13日 21時) (レス) id: 2c8648c87a (このIDを非表示/違反報告)
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