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無色透明なわたしの世界には、彼の赤色しか無かった。
人と関わることも苦手で、いつも瞳にかかる前髪を盾にして俯いて。
そんなわたしの顔を上げて、目を合わせ、真夏の夕暮れのような茜色を見せてくれるのは彼だけだったのだ。
彼は特別だった。…恐らくきっと、あの時の彼にとって、わたしは良くも悪くも特別な子だったと思う。
そして、その特別な感情が恋に変わるまで、時間は要さなかった。
今思えば、あれは依存のようなもので、トントンしかいない世界の中で「トントンを好きだ」と思うのは、最早必然だったと思う。
次の日からはいじめを受けた。
相も変わらず直接手を下されることは無かった。
物が無くなったり、隠されたり、机に落書きをされたり…陰湿で、だけれど典型的な物だった。
そして、同じ小学校の同級生達は、慣れたようにわたしを無視していた。
いじめを受け始めて、2ヶ月が経った。
日常は変わらず、トントンと人目のないところを訪れて楽しそうに微笑み合う時間だけは気を緩めていられた。
そして間も無く、反応も何もせず表情を変えないわたしに飽きたのか、いじめは何も音を立てずに終わった。
わたしはまた透明人間へと成り下がったのだ。
虐められることもなければ、勉強面に問題があるわけでもない。運動は少し…結構苦手だったが、誰もわたしに目線を向けることはないので、特に恥ずかしい思いもしなかった。
先生たちも「何かあったのか」と、話しかけてきたが、それも初めだけで。
口を割らないわたしを見てか、時が経つに連れて大人たちもわたしを腫れ物扱いするようになった。
不思議と、なにも怖くは無かった。
わたしにはトントンが居たから。遠回しに、守ってくれていたことも風の噂で知っていたし、彼が居るだけでわたしは大丈夫だった。
そんな毎日が何事もなく続いて行き、トントンは主席で中学を卒業し、この高校に入学した。
わたしは中学生三年生になった。一昨年のことだ。
彼が学校から居なくなったとて、わたしの日常は変わらなかった。
そんなある日、下校途中に久しぶりに見る赤いマフラーが目に入った。思わず気持ちが昂り、いつもより大きな声で「とんちゃん！」と声を掛けた。
トントンは驚いたようにわたしを見つめると、曇りのない茜色を細め、「久しぶりやな」と蕩けるように笑った。
並んで歩いた。背後に伸びる影を確認して、前を向く。
街の中に消えて行く太陽は、彼の瞳のように爛々と燃えていた。
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。ﾏﾙ(プロフ) - 星空さん» コメントありがとうございます◎わ〜とてもうれしいです！たくさんきゅんを摂取していってくださいね！ゆっくりにはなりますが、更新の方頑張りますので、ゆるっと応援お願いします。 (2020年8月20日 6時) (
レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - もうめっちゃ心臓がキュンってします……！！好きですありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))私もこんな青春したい(´；ω；｀)この小説でドキドキ摂取してます(？)これからも無理せずに更新頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 3時) (レス) id: df42e0e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - デデドン！さん» コメントありがとうございます◎ゆるゆるになりますがこれからもがんばります…！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - トドルゴンさん» コメントありがとうございます◎ほんとうですかうれしいです〜！(T . T)きっと心臓きゅって掴んだまま離しません！どうか引き続きよろしくお願いします。 (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
デデドン！ - めちゃくちゃ文が綺麗で好きです、、これからも頑張ってください！ちゅっ！！ (2020年8月13日 21時) (レス) id: 2c8648c87a (このIDを非表示/違反報告)
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