２ ページ2
.
それにしても「弟みたいだから」か。
冷たい扉と睨めっこを続けて早数分。
扉越しの彼の泣き言は止まることを知らない。
「も〜…俺のどこが悪かったの！優しくしたのがだめなの！？わけわかんねー！」などと喚く元気はあるみたいだから、あまりメンタル面の心配はしていない。
…いや、わたしが心配したところでなにか手助けをしてあげられるわけではないのだけれど。
弟みたいだから、と振られていた彼にわたしは自分を重ねて、余計な同情をしてしまったのかもしれない。
わたしが中学三年生だった一昨年、ずうっと好きだったひとつ上の幼馴染みにこの手の話を振ってみたことがある。
「ねえねえ、…彼女とか！いたりするの！」
「か、かか、彼女っ？え、いや、おらんけど…。珍しいな、Aがそんな話振ってくるなんて。」
「…クラスの子が付き合ったとかどうとかで騒いでて。━━ちゃんとかはどうなんかなあって。」
「……ん〜、まあ、好きな奴はおるよ。学校でもいっとうええ子で優しい、ってなに言わせんねん。お前が大人になったら教えたるわ。」
「なあ〜、大人っていつなん？」
「はぁ〜ん？そんなん知りまへん。自分で考えなさい。聞かれるこっちの身にもなれや、恥ずかしいんやぞ！」
「…あ、ねえ、待ってよ〜！」
なーんて会話も、もう2年も前の話だ。
それからすぐに吹っ切れる、なんてことができないわたしはまだ彼のことを忘れられないまま。
好きなのか？と問われればよくわからないけれど、他に好きな人を作ろうとしても彼がいちばんに頭をよぎり、邪魔をするのだった。
そのくらいに彼は出来た人だったから。
後日「わたしとかどうなん」なんて軽率に聞いたわたしは「いや、お前は妹みたい、やなぁ。」なんて返答をされ、見事に玉砕しているのだが。
もちろんその場では「冗談やん！そんなん本気にせんといて！」なんて流したが、もしかして彼にはそれすらもお見通しだったのだろうか？
いまでは本当に迷宮入りである。
「……っし、」
そんな一人語りが終わったところでようやく決心がついた。
わたしの日課であるひとり反省会を行うためだ、話しかけなくてもいい。ちょっと屋上のスペースを借りられれば。それでいいのだ。
かちゃり、数分前に彼が触ったであろうドアノブはすっかり冷え切っていて、わたしは思わず肩を竦めた。
「…あの、」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 936人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。ﾏﾙ(プロフ) - 星空さん» コメントありがとうございます◎わ〜とてもうれしいです！たくさんきゅんを摂取していってくださいね！ゆっくりにはなりますが、更新の方頑張りますので、ゆるっと応援お願いします。 (2020年8月20日 6時) (
レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - もうめっちゃ心臓がキュンってします……！！好きですありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))私もこんな青春したい(´；ω；｀)この小説でドキドキ摂取してます(？)これからも無理せずに更新頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 3時) (レス) id: df42e0e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - デデドン！さん» コメントありがとうございます◎ゆるゆるになりますがこれからもがんばります…！ (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
。ﾏﾙ(プロフ) - トドルゴンさん» コメントありがとうございます◎ほんとうですかうれしいです〜！(T . T)きっと心臓きゅって掴んだまま離しません！どうか引き続きよろしくお願いします。 (2020年8月13日 22時) (レス) id: 67fc3fdd24 (このIDを非表示/違反報告)
デデドン！ - めちゃくちゃ文が綺麗で好きです、、これからも頑張ってください！ちゅっ！！ (2020年8月13日 21時) (レス) id: 2c8648c87a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
