儚く、甘く、…繋ぐ。【5】［Reo.S］

He 25 ページ49

隼の目が、少し赤くなった。


隼「…僕らは頑張るしかないよ。
…女の子は、強いよね。」


「振られた…んだな、俺…。」


隼「好きなのに？振った形なのかなぁ…
どうなんだろ…分かんない、僕も。」



涙目になって二人で溜め息をついた。


大の大人の男が二人

昼下がりのカフェで泣き笑いした。



「忘れられねぇわ。」


隼「…いいんじゃん？
あんなに良い子、玲於の人生に
二度と現れないと僕も思うし。」


「お前、傷口に分かりやすく塩塗ったな…」


小突き合いしながら、隼が呟く。


隼「ほら、…こうして少し時間を置いてるから
玲於の中でも気持ちの整理と覚悟が出来てた。
…ツアー終わるまで伏せてたのも、
玲於が日本に居ない時に出発したのも、
全部全部、玲於とGENEの為だよ。
Aちゃん、すげぇなぁ…。
…玲於、…愛されてんね。」



…愛？



「うん。」


それは確信できる。


Aは離れる事を選んでしまったけど

愛されてる事、感じてた。



「だって、…俺も愛してるもん。」


隼「…キモ。僕に言う？」


「お前、全国の佐野ファンに殴られるよ？」



すると、ニッと思わせ振りに笑った隼が

俺のバッグに何かを押し込む。



「わっ！型崩れするっ…」


隼「まあ見て玲於さん、
これ…亜嵐君からのプレゼント。」


「あ…」



それは彼女が表紙を飾るファッション誌。


彼女の電撃引退も話題になって

どこの書店でも品薄で入手困難になってた。



隼「お姉さんルートで手に入ったって。」


「可愛い…」


隼「バーカ。」


.



「今日もウザイくらい良い天気だわー。」


メン「玲於！車の窓は開けなぁい！」




年明け、デビューイベントのステージで

ふいにあの日彼女が隠れてた所に目が向いて

そこにいたファンの子と目が合った。


勿論、彼女じゃないんだけど…

俺にはあの日が蘇って、自然と笑えた。



.



" I L Y … from R "



ねぇA、お前ちょっと鈍いからさ


指輪の裏側ちゃんと見てくれた？


お前、もう俺の気持ち受け取ってんだから


絶対責任取ってくれよな



そしてA、ちゃんと見てて


俺、頑張るから


Aの目にいつでも届くように



…そしていつか


また会える日が来たらさ…



その時まだ俺の事を想っててくれたなら


今度は二度と離れないでいよう




＿そして



Aちゃん " いつか "




＿＿俺のお嫁さんになってよ



.

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