儚く、甘く、…繋ぐ。【5】［Reo.S］

He 20 ページ44

隼「…玲於っ！！」



海外での仕事を終えて久し振りの事務所。


集合時間の２時間前に来たのに、

俺を待ち構えてたらしい隼に捕まった。


や…、出来ればミーティングの前に

ジムで鈍った体戻したいんだけど…。



「…何？うるせーよ。静かにしろ。」


隼「Aちゃんはっ？
…ちゃんと連絡取れてるっ！？」


耳元でお構い無しに大声を出す、隼。


まじうるさい。人の話聞けよ…。

つか、何でA…？


「はぁ？
…あんな勝手なやつ知るかよ。
ってかマジで静かにして。頭に響く。」


隼「…知らないの？」


「何を？」


隼「Aちゃん、居ない。」


「…仕事じゃねぇの？
あぁ…それか、
…何か急に留学とか言ってたから、
……行ったんじゃね？」



あぁ！思い出してもムカつく！

結局A、連絡も全く入れてこねぇし…。


ワケ分かんねーっ！



隼「…留学って…どこに？
携帯も、部屋も、解約して？
…愛さん、探し回ってるんだよ。」



青い顔して小さな声で呟く隼。



…は？


「何、…何の話…？」



ギュ！と心臓が掴まれたみたいに痛い。


直感的にヤバいと思った。



隼「…玲於？」


「…Aが何、…え？」


マネ「あ！玲於ー！早く来てくれたんだ！
ごめん、ちょっと打合せできる？」



隼に何も言えなかった。

青い顔のまま、隼が悲しそうな目を向ける。



「…行くわ。」



何だか、ひどく居心地が悪くて

マネージャーに呼ばれた方へぼんやり動いた。



マネ「すごいよ、玲於ー！
…来年、また映画のオファーが…、…、」



俺ってすげぇな。


頭の中、今、Aの事しか考えてないのに

ちゃんと受け答え出来てる…。




昨日、マンションに帰れば良かった…。



A…。



あの時、悲しい顔にさせたままじゃん。



あの時、頭にキてて、

俺、何も見えてなかった。



あの時、変だった。



…そうだよ、


何もかも考えてみれば、変だった。



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