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守りたいもの 7 ページ37

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わたしたちを取り巻く環境は

育っていくこの気持ちとは反比例していく。



玲於は、会えない期間に強くなる。

一人で立って歩いて行く。


だけど私は、…段々弱くなり始めてる。

いつか玲於と離れる時の為に始めたはずの

引き算の仕方を間違えてしまったみたい…



もう、好き、だけでは収まらない。


許しながら苦しくなるの。



.



「…ずっと聞きたかった事があるんだけどさ。」




軽い朝食の後に玲於が迎えを待つ間、

ソファーでただ寄り添っていた時に

その質問は前触れもなく投げ掛けられた。



『ん?』



「…あのさ、Aの、…夢って何?」




私は相当変な顔をしたんだと思う。

不安になったのか、玲於の表情が曇った。



『驚いただけだよ。そんな顔しないで?』



機嫌を直して欲しくて明るく言った。

玲於の頬にキスして肩にもたれた。


本当に驚いただけ、興味を持ってくれた事に

嬉しくなったし気分は悪くない。



『でも突然、どうしたの?』

「…すぐ言えないのって、教えたくないから?」



…うーん、まだ、ご機嫌斜めだ…。



『そんな事ないよ、本当に。』



私は笑って少しおどけてみせた。



『…まぁ、もうお気付きでしょうが、
スーパーモデルではありませんっ。』


「覚えてたのかよ。…ふっ。」



鼻から抜ける笑い方。少しだけホッとした。



どうしたらいいんだろう…。


でも嘘ついたって良い方向には行かないよね。

だけどまだ私の中でも迷いがあるから。


ゆっくり息を吸い込んだ。




『…ね、私って、普通?』


「…それ、どーゆー意味?
はっきり言って。俺、頭悪いから分かんない。
真面目に聞いてんだよ?」



曖昧に匂わすだけでは納得してくれない。

両肩を掴まれて、じっと目を見詰められる。


下手くそな気持ち、伝わるかな…?



『…真面目な質問だよ?
私は、私の今までが…普通じゃないと思ってる。
ずっと、違和感を感じながらここまで来たの。
この仕事を続ける事にね、迷いが、ある。
…いま言える事はこれだけ…。』



初めて、伝えた気持ち。



玲於は私の言葉を受け止めるように、

壊れ物を扱う様に優しく私を抱きすくめた。




『…玲於?』


「…うん、そっか。
…教えてくれてありがと。」



『…がっかりしたよね。』


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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時

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