儚く、甘く、…繋ぐ。【5】［Reo.S］

彼のために 7 ページ27

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そして、大学が春休みに入った。



わたしたちのポスターも掲示が終わり、

今では玲於単独のものに貼り替えられている。



マネージャーさんの言った通り

およそ３ヶ月…


世の中はふたりの噂をほとんど忘れてくれた。



ただ、この騒動で一番影響を受けたのは

…私の仕事だった。


ティーン時代から応援してくれていた人は

大人になったとか言ってくれたりしたけど…


スポンサーさんや世間は違った。


私の仕事は、少し落ち着い(てしまっ)た。



"イメージと違う"

"裏切られた"

"ファンの気持ちも考えろ"

"玲於に近づくな"

"釣り合わない"



私の仕事用のホームページのコメント欄は

大半はこういう言葉で埋まった。


…もちろん、もっと酷いのも、ある。



私の何を知ってるんだって思うけど、

こういう世界で生かされてきたのが、自分…。

周囲には気にしないように言われていたし

見ないようにも気にしないようにもした。


でも、隙間を縫ってじわじわ忍び込んでくる

直接的な悪意にさらされて、知らず知らず、


…私は疲れ果ててしまった。




"思い"が"重い"に、

"愛"が"哀"に、変わる…


自分が身を置いてしまった世界の現実を

目の当たりにして、怖かった。



こんな時こそ玲於とくっついていたくて

…ずっと、会いたくてたまらなかった。



だけど、会うなと言われた訳じゃないのに

自然とわたしたちは会う事も出来ずにいた。


これ以上GENERATIONSに迷惑をかけない為に。


…初めは、その気持ちから少し自重した。


そうする内に玲於はツアー準備に追われ始め、

さらにふたりの噂すらバネに注目されて

単独の仕事でもスケジュールが埋まった…。



玲於が無理をしないと、ふたりは会えない。


短い電話とLINEだけがわたしたちを繋ぐ。


"会いたい" …何度か打ちかけたメッセージ、

それを送る事はしなかった。


私はひたすら玲於を心配させないような

何気ない内容のLINEだけを送り続けた。



なのに、玲於のSNSから零れる情報が

勝手に私を追い詰めていった。

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