彼の世界 2 ページ2
母を帰して一時間後、
私は急いで準備を始めた。
…今日は、玲於の服ではダメなヤツだよね。
本当に目立たないように、
シンプルなTシャツとスキニーで。
ネックレスと、リングは普段から着けたまま。
もちろん、お馴染みのダテ眼鏡もかける。
『…で、忘れちゃいけない、コレ…。』
鏡の前でファーストピアスを外す。
一つだけ、ちゃんと1ヶ月前に開けておいた
左耳のピアスホール…。
…ターコイズのピアスを、初めて通した。
…玲於は、まだ片割れを持ってるのかな…。
『…ふふ。6年越し。』
耳に触れると蘇る思い出に、一人で笑った。
あの日の幼い彼は、今はもういない。
私を抱き締める腕は、もう華奢じゃない。
彼も私も、たくさんの事が変わった。
大人にも、なった。
怖がりにも、なった。
今夜、初めて見る彼は、多分…一番遠い彼。
彼のものでも、私のものでもない、"彼"。
どんな風にそれを受け止めるのか、
自分でも分からない。
『…あ!時間っ!』
…結局、バタバタと部屋を後にした。
.
.
私がライブに行く事を連絡すると、
愛ちゃんは隼くんに席を用意して貰ってくれて
一緒に行ってくれる事になった。
愛『A、ボーッとしてて身バレしそう。
監視してないと、余計に不安なんだもん。』
…否定できないのが悔しい。
私達は目立つ事を極力避ける為に、
会場で合流する事にした。
.
.
人、人、人…。
夢者修行の頃とは比較にならない人の波。
タクシーで向かったけど、会場近くは渋滞中。
車窓から外を眺めると、顔や腕に"玲於"って
シールを貼っている女の子がたくさん見えた。
みんな、キラキラしてる…。
たくさんの人にこんな表情をさせられるのか…。
誇らしい様な、寂しい様な、不思議な気持ち。
"佐野玲於" っていう人の力を感じる。
私の側に居る彼が、同じ人なんだろうか…。
今の私には、自信がない。
彼の諦めを感じてしまったあの日から…
彼は一人で、
ずっと先に行ってしまったみたいだから。
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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時