君と繋いだ手の先へ part2【イナイレ】 (ページ46)

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「無事に着いたな」
「二人のおかげだよ。ありがとう」
「礼には及ばないって！」

そして入り口を二人が見張ってくれている間に、さっさと服を脱いで中に入る。
ちなみに着替えはマークの予備のジャージを借りたため、今夜はそれを着て寝る事に。
今回はいつもみたいに時間はかけられない…
出来るだけ早くシャンプーをして体を洗い、急いで彼のジャージを着る。
少しサイズが大きくてぶかぶかしてしまうけれど。

あ…マークの匂いだ……

首元までチャックを締めた時に香った彼の匂い。
変態臭いのは重々承知している。
けど…そう思わずにはいられないのが、恋というものだ。

「お待たせしました…！」

入り口前にいる二人に声を掛けると、彼らはこちらに振り返った。
すると二人とも固まってしまったかのように動かない。
特にマークは口を半分開けてピクリともしなかった。

「あの…」
「！わ、悪いっ…」
「ワオ！風呂上がりに彼ジャージなんて、最高のシチュエーションなんじゃないか！？」

やけにテンションが高いディラン君をマークが軽く小突く。
今のは結構入ったんじゃ…
少し悶えているディラン君を心配に思っていると、マークは咳払いをしてから口を開いた。

「今度は俺が入ってくるから、その間にAはディランに俺の部屋まで送ってもらってくれ。いいよな？ディラン」
「オーケー！プリンセスは無事に城まで送り届けるさ！」

あとでね、と言葉を交わすと、私はディラン君とシャワールームを後にする。

今度は誰に遭遇する事もなくすんなりと部屋に戻ってくる事が出来た。

「到着！無事で良かったよ」
「ふふ、ありがとう。ディラン君」

私が笑ってお礼を言えば、彼もまたニッと笑って親指を立ててくれる。
本当に良い人だなぁ…
マークとは性格がかなり違うディラン君だけど、彼にもまた違った優しさがある。
そんな彼にマークはいつも支えられているんだろうな。

「よかったらマークが戻って来るまで話さないか？」
「もちろん！いいよ」

二人でマークの部屋の中に入ってそれぞれ床に座る。

「明日にはこの島ともお別れか〜。長かったようであっという間だったよ」
「そうだね。ちょっと…ううん、かなり寂しいかも……」

この島に来てから本当に色々な事があった。
両手では数え切れないくらい大切な思い出が、たくさん。