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「とりあえず外出よ」
みつに連れられてクラブの外へ。
外はまだ暗くて、人はちらほらいる程度。
「みつ、ありがと。」
「んで何も言わず帰ろうとしてんだよ…」
みつを見たら、本当に拗ねてるみたいだったから思わず微笑む。
「Aちゃんさあ、グラス置いて帰るなんてクラブ慣れしすぎじゃね?」
「昔は、ね?」
おどけてそう言ったら、みつも少し笑顔になった。
でもまたすぐ怒り顔。
「慣れてんなら、やすやすと男に身体触らせてんなっつーの。」
「…ごめんね?」
「この後どーすんの?終電ある?」
「終電は…ないや」
「タクシー拾う?俺出すけど。」
ちゃんと、帰してくれるんだ。
一瞬でも寂しい、なんて思った自分に慌てて首を振る。
未だに若者気分なんて恥ずかしい。
…でも、みつは優しくていい人だなって直感でわかるから。
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「帰りたくない、って言ったら、どうする?」
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お酒のせいにして、そんなこと言ってみる。
顔を上げたら目を丸くしたみつと目が合った。
でもすぐに真面目な顔になって抱き寄せられて、顔が近づく。
唇と唇の距離、3cm。
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「帰さない。」
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昨日彼と別れたのに。
さっきまであんなに辛くて苦しかったのに。
バッキュンと撃ち抜かれた心臓は
思い出したかのように途端に速くビートを刻む。
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どちらからともなく触れた唇、繋がれた手。
「…行こ」
伏し目がちに呟いたみつに吸い寄せられるように付いていく。
一番近くに見えてたホテルのエントランスを潜った。
一番高い部屋しか空室になってなかったけれど、みつは迷わずその部屋を選んで、私の手を引いてエレベーターに乗り込んだ。
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作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時