. ページ4
"運命"
そんな言葉に簡単にときめく私は、まだまだ全然大人になれていなかったみたい。
「運命の出会いに!」
なんて言ってちょこんと彼が掲げたグラスが、私のグラスと音を立てた。
.
強いお酒飲んで、散々泣いて、クラブにそぐわない女が一人。
よしよし、って優しく慰めてくれるみつの胸を借りていると、自分は何してるんだろうという急な疑問。
4年付き合ってた彼氏に振られたぐらいで、みっともない。
せっかく出会ったみつと離れるのは寂しいけど、ずっとここにいるのもなんか違う気がする。
「ちょっとお手洗い。」
「ん。」
居心地の良かったみつの胸の中から解放されて、グラスを置いたまま席を立つ。
グラス持ってっちゃったら、帰るのバレバレでしょう?
.
みつ、またね。って心の中で呟いて、お手洗いには行かず真っ先に出口へ向かった。
.
.
「ねえちょっと」
振り向くと、いかにもな感じの若者3人。
「グラス持ってないみたいだけどなんか奢ろうか?」
「お姉さん可愛いし、なんでも飲みなよ」
肩を組まれてズイズイとドリンクカウンターの方へ連れて行かれる。
「…あの、いいです私もう帰るんで。」
「そんなこと言わずにさ、一杯ぐらいいいじゃん!」
「離してください」
「クラブ来るなんて最初から男にチヤホヤされたかったんだろ?」
.
クラブに来て男の人に声をかけられて、強引にナンパされるのなんて当たり前かもしれない
でも、
「っちょ、やめてください!」
どさくさに紛れて色んなところを触るのは、御法度じゃないの?
気持ち悪い、吐きそう。
ただでさえ人の多いこのフロアで、3人の男に囲まれてたら誰も痴漢されてるなんて気付かないに決まってる
「ね?いいじゃん。なんなら外出てもいいし?」
「…やめて…っ」
.
ぎゅっと目を瞑ると
.
.
「A、グラス忘れてっけど。」
.
「みつ、?」
男の手を払ったみつにグイッと引き寄せられて腕の中。
さっきまでの居心地いい香りに包まれて、私が故意に置いていったグラスを無理矢理持たされる。
.
「で、あんたら誰?」
みつが睨みをきかせたら、急に大人しくなる男たち。
「…な、なんだあ?連れいんのかよ、」
バツが悪そうにその場から消えた。
.
864人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時