m -Dear My Prince- ページ15
.
.
.
「大丈夫ですか?」
.
.
.
暑い夏の日。
田舎から出てきたばっかりで、慣れない都会の電車に乗り込んだあの日。
人の多さと暑さで完全に体調を崩して満員電車で座り込んでしまった私に 声をかけてくれたのが貴方だった。
他の人は見て見ぬ振りだったのに、目の前に現れた貴方は躊躇なく手を差し伸べてくれて。
顔を見上げた時に思ったの
" あ、本物の王子様だ "
って。
.
.
王子様は、私を次の駅で満員電車から解放するために降ろしてくれて、あろうことか自分も一緒に降りてくれた。
「あの、え?大丈夫ですか?」
「ん?なにが?」
ニコニコの笑顔でそう言われて、この人は本当に優しい人なんだ、ってわかったから。
.
「目的の駅、ここじゃないですよね…?」
「あはは、そんなこと心配してくれたの?それより自分の体調の方心配してあげて?」
「…はい」
王子様はリュックを開いて、未開封のお水やら冷えピタやらを取り出す。
「これ飲んだ方がいいと思う。あとこれも首に貼っておいてね」
「ふふ、なんでこんなに色々持ってるんですか?」
「えへ、聞いちゃいます?(笑)」
「聞きたいです(笑)」
「今日コミケがあるんだよね〜」
「コミケ…って、あぁ!だから人が多かったんですね?!」
「そうみたい。」
「…コミケ、行かなくて大丈夫ですか?」
「全然大丈夫。明日も休みもらってるし、ゆっくり回れるからさ!」
.
.
.
田舎町で育った私の周りには
意地の悪いヤンチャ盛りの男子たちしかいなかったから。
大人で紳士で、笑顔が素敵な名前も知らない王子様に惹かれるのに
そう時間はかかりませんでした。
.
.
.
.
.
.
『Dear My Prince』
864人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時