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誕生日当日。
電車を乗り継いで降りた都会の駅の改札の前に、健永くんはいた。
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「Aちゃんお誕生日おめでとう」
目の前に現れた健永くんは、大人で格好良くて、眩しいぐらい。
今日は綺麗めな服で来てね、って事前に言われてたから頑張って大人な服を着てきたけれど
見た目的に釣り合うのか多少の不安が残る。
「綺麗だね、その服。すっごく似合ってる」
それでも健永くんはそんな風に言ってくれるから簡単に胸が高鳴ってしまうの。
今日は健永くんがお祝いしてくれる最高の日。
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オシャレなフレンチレストランで、フルコース。
こんなとこ来たことない!ってはしゃぐ私に、ニコニコご満悦の健永くん。
健永くんが「フレンチにはこれでしょ〜」って勧めてくれたシャンパンは、口をすぼめたくなるようななんとも言えない味だった。
「…ん、んー?」
「ははは。Aちゃんお酒デビュー」
「美味しいって思える日、くるかな?」
「くるよ。そしたら俺と毎晩宅飲みしようね」
恥ずかしげもなく小指を差し出される。
「健永くん、お酒弱いくせに」
そんな風に強がって照れ隠しして私もおずおずと小指を出したら、ギュッと絡められた。
指切りげんまーんって歌う健永くんと、繋がれた小指に意識が集中しまくってる私。
だって、こうして触れ合うことでさえも、20歳を迎えた私には意味が違ってくるから。
デザートはバースデーケーキだった。
オシャレに並んだロウソクを吹き消したら、突然目の前に薔薇の花とキラキラ光る高そうなピアスが現れて
「一緒に祝えて幸せだよ」
ってそんな言葉まで添えてくれる。
嬉しくて泣きそうでグーって堪えてたら
「今日はホテルとってるから」
って優しい声。
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突然高鳴る鼓動。
遂に。
遂に今日、大好きな健永くんと心も身体もひとつになれる。
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「わ、こんな綺麗な部屋…!」
フレンチレストランと同じビル内、最上階にあるホテルから見る景色は、絶景だった。
「さすがAちゃん、リアクションばっちりだね。」
なんて言いながらちゃっかり自分も景色に感動して写真なんか撮っちゃってるし。
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そんなこんなでワーキャーしてたのに、急に真剣な顔になった健永くんが私を見据える。
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「先シャワー浴びてこいよ。」
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その一言で心臓が一気にバクンっと高鳴った。
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健永くんが、私を大人にしてくれる時。
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作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時