イヤホンは知っている 【探偵チームｋｚ事件ノート】

遥さん　彩side↓ ページ38

夏下旬特有の生暖かい風が頬をなでる。


白いパラソルの下、カフェラテをすする。



目の前には、抹茶フラペチーノを飲む遥さん。



どうして、遥さんがいるんだろう。



戸惑う私をヨソに遥さんは話す。


遥「久しぶり、彩ちゃん。元気だった？」

彩「はい元気でした。…あ、今も元気です！」



遥さんはやわらかく微笑み、よかった、と目を細めた。



そして、フワァ…とあくびをした。


フワァ…


私もつられてあくび。


それを見て遥さんはまた微笑んだ。






遥「あくびって、親しい人がすると、つられやすいんだって。」


遥「私達、親しいんだね。」



一拍おいて、呟くように言った彼女は儚くて。

この世の者と思えない程美しくて。


時が止まってずっと、彼女の表情を眺めていたい。


なんて心から思う私は変態かも。




遥「彩ちゃん、あの時、私をkzに入れてくれてありがとう。」

彩「私も。短い間だったけど遥さんと仲間でいれて嬉しかったです。」


遥「そうね。私、すぐ辞めちゃったし。」









陽炎？





いや、違う。じゃあ何で？








遥さんが歪んで見える。







あ、そうか、コレは夢なんだ。





まだ夢が覚めないでほしい。




遥「kz辞めて__________ごめんね。」









夢が覚める最後に遥さんが言ったのは。






謝罪の言葉だった。





私はその事がとても悔しかった。








なぜ悔しいのか自分でも分からない。









ツー……と流れた涙は、




枕に染み込んでいった。

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