居待月 ページ8
*
今週はグループ全員での仕事が続いていた
一昨日ぶりに皆と顔を合わせる
本来なら嬉しい筈の事も、今は楽屋に入るのすら躊躇してしまう程足取りは重い
「おはようー、宏光」
「おはよ」
ドアを開けて入った先に居たのは5人のメンバー達
それぞれと挨拶を交わしながらぐるりと楽屋内を見ても藤ヶ谷の姿は無かった
「……」
安堵なのか
それなら何に対してホッとしたのか
静かにため息が零れたとほぼ同時、ドアが開く音が聞こえ反動的に振り向けば入ってきたのは今さっき安堵したばかりの要因、藤ヶ谷だった
深めに被ったハットで目元はハッキリ見えないものの、纏う空気と挨拶を返す声で変わらず本調子でないと分かってしまう
定位置と化した親友でもある横尾さんの隣に座り、会話をしながらハットが外された事で何かを耐える様に眉間に皺が寄っていたのが見えた
隣の彼も心配そうに話掛けている
…きっと、また避けられるのは目に見えてるけど
でも、恋人としてではなく仕事の為にメンバーとしてなら、俺もまだなんとか話せるだろう
荷物を下ろし、脱いだ上着も適当に置いて迷わず声を掛けた
「藤ヶ谷」
見あげる目にはやはり、以前みたいな優しさも何も感じられない
「……なに、」
「隣の部屋が空き室になってる。まだ時間もあるからそっちで少し休んでおけ。此処だと人も居るし、物音気になって寝れもしないだろ」
震えそうになる指先を誤魔化す様に手を握りしめた
合っていた筈の視線はあっさり外され、面倒だと言わんばかりの溜息が零される
「……北山には関係無いだろ」
「俺にどうこうじゃない、仕事と皆に関係あるんだよ。 お前一昨日だって顔色悪くてフラついてたじゃねーか。例えカメラには映らなくてもその場にいるスタッフさん達には見られてる。他の出演者も居る。ちゃんと仕事も出来ない状態でスタジオに立つな。俺達はプロだろ」
「……放っておけよ。 …なに、そんなに俺に構いたい訳?」
「お前がちゃんと仕事してくれるなら文句なんか無い。自分一人だけの問題じゃないって、自覚持て」
…違う、喧嘩がしたいんじゃない…
本当はこんな言い方がしたいんじゃないのに…
でも冷めきった藤ヶ谷の目とその声色を突き付けられるとこちらも強気に出ないと立ってすら居られそうにもなかったから
ピリついた空気に静まりかえる楽屋内
…今は、俺が一歩引くのが一番だな
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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時