朔望月

立待月 ページ6

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藤ヶ谷と最後にプライベートで会えたのはもう二週間も前の事だった

舞台とドラマが続いて長期間忙しくしてた彼奴は、今思い返せばちょっと前から調子悪そうな時が何度かあった様な気もする

自分を追い込み、繊細で傷付きやすく一人で抱え込みがちで、その癖して誰かにすぐ頼るのを嫌がる

多忙になればなる程、逆に夜の眠りも浅くなる

まだ最近よりは会えていた頃は甘やかし、時には問い詰め吐き出させてやっと素直に「疲れた」と

何処が痛いや気持ち悪いなど、教えてくれたけれど今は…




「…ちゃんと休めてるのかよ…」




また見てしまった冷たい目をした恋人に別れを告げられる夢に魘され、

嫌な汗を感じると共に目を覚ませば偶然手が触れた事でスマホの画面が光り、丁度通知が届いていた事に気付いて慌ててロックを解除した

昨日送ったメッセージは寝てる間に既読となっていたようで

返信内容に僅かに期待を抱くも画面上に綴られていたのは「時間が作れない」と素っ気ない一言だけだった

あっさり、打ち砕かれた日付も変わった明日の夜の予定




「もう、俺にお前の心配もさせてくれないの……？」




一度目が覚めてしまうとなかなか寝付く事も難しく、上半身だけ起こしてベッドの上でただ寝室内の暗闇をぼぅっと見つめる

さっきから何度も見返したスマホの画面に再度目線を落としても表示されてる文面は当然何も変わらない




「……俺、何かした…？どうして……。…悪いならせめて謝らせてよ……」




仕事場でもまともに話が出来ず、多忙とは分かってても僅かな時間で会う事すら叶わない

勘違いではないだろう

もう、完全に接触を避けられてしまっている

今此処で泣いたって意味なんか無いのは分かってるのに…

零れそうになった涙を堪えてグッと力を込めた唇は小さく震えていた

お互いが忙しければ十日や二週間、下手したら一ヶ月ぐらいまともに会えない事なんて今までにも何度もあった

正直、自分はこまめに連絡する様なタイプではない




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