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*




知れば此奴は絶対「ごめんね」と、自分が悪いと謝るのが目に見えていたから

ただ、俺が見た夢なのに

出来るなら聞かせたくなんて無い

そう思っていたのに…




「………別になんでも、」

「無い事ないよね? 俺に関係してる夢なんでしょ?お願い、話して」

「……っ」




どうにか否定しようとすれば食い気味に言葉を遮られてしまった

お互い身体はピッタリとくっ付いたまま、

それでも胸に埋めていた顔をそっと両手で包まれて少し高い位置にある太輔の目と視線が合わさる




「ひろ」

「……っ」




ぐっ、と唇を噛んだ

決して追い詰められる様な強さは無いのに、優しいその目線からは逃れられないと感じる

此処で話さなければきっと、聞けるまで太輔は諦めず押し問答が続くだろう

今は早く寝て、少しでもゆっくり身体を休ませて欲しい

…仕方ない

自らの視線を下ろし、頬に触れていた太輔の手を離して再度ぎゅっと抱き着いた




「……分かった、話す…。…でも、お前は悪くないから。謝るな。 …先にそれだけは言っておく、」

「ん。大丈夫。 …教えて?」




そっと背中に回された腕の温もりに一度ゆっくり息を吐いてから、ぽつりぽつりと何度も見た夢の話を始めた






「……ごめん、宏光」




ほら、やっぱり




「だから謝るな、て言った…」

「でもごめん。 俺が宏光を一人にして寂しい想いさせてたから、不安でそんな夢見ちゃったんだよね。 …本当、ごめん」

「……、」

「怖かったよね、辛かったよね…。俺はもう絶対宏光から離れるなんて有り得ないけど、もしまだ何か気になる事あるならなんでも言って欲しい」




抱き締められる力が強まる

その腕の中でもうこれ以上は何も無いと、首を横に振った

「本当に大丈夫?」と聞かれた声には小さく頷く

その後頭上でふぅ、と息が吐かれたかと思えば背中に回っていた手が後頭部と腰にそれぞれ移り、更に力が入れられた事でより身体が密着する

もう手放さない何処にも行かせないと、まるで怖がってる様で




「……寂しかったし、怖かったけど…。毎晩、月を羨ましがったりしたけど…、でも、俺の太陽も戻ってきてくれたから。…大丈夫」

「…え?」




_

☾→←☾



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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