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昨日のこともあってか気に掛けてくれているのは明らかだった

でも直接触れる訳でもなく、いつも通りで居させてくれる空気感にホッと肩から力が抜ける

例え仕事中は忘れられていても家に帰ればやっぱ一人でどうしても考えてしまうのは藤ヶ谷の事だけだろうから

かなり強引ではあったけど、出来る限り一人になりたくなかった俺にとって今日のお誘いは願ったり叶ったりだ

目の前でメニューを広げながらあれこれと盛り上がる二人を見守りつつ、ほっと小さく息を吐いた






美味しい料理に箸もお酒も良い感じに進み仕事のことからお互いのプライベートまで、普段あまり深い話をしてこなかった二人とかなり濃厚な時間を過ごせていた

時折冗談を言う宮田に玉森があたりの強いツッコミを入れる"いつもの光景"に自然と笑顔になる

そんな何も変わらない居心地の良さが短くも有意義で今の俺にとって必要な気分転換にもなっていた

…昨日から此奴らには感謝してもしきれないな




「…ありがとな」




思わず零れた言葉にテーブルを挟んだ向かい側の二人の動きが一瞬で止まった

そんな、呼吸までもシンクロしてるのではないかと感じる程息もピッタリな様子に本当に仲が良いなと、少しばかり羨ましくも思えてしまう




「ミツ?」

「あんなみっともない所も見せて。 …情けねーけどさ、正直、今日もあまり一人にはなりたくなかったから助かった」




酔いが回ると本音が出やすいらしい

今の俺はまさにその状態だ

一緒に居るのが目上のお世話になってる人や先輩でもなく、気心知れたメンバーだからこそ余計かもしれない

寄りかかって、頼ってしまいたくなる気持ちが見え隠れする




「別に俺達特別な事なんてしてないよ。 今日だってタマと「久しぶりに風呂サーでご飯行きたいね」て話になって誘ったんだから。気使わないで?」

「ん、さんきゅ」

「…ねぇ、ミツ

…本当は、何か話したいことがあるなら聞くよ?」

「……っっ、」




昨日からそうだ

玉森も宮田も

確信的な事には決して直接触れない

無理に聞き出そうともしない

甘えているだけだとは分かっていても、その優しさが嬉しかった

…でも今、自分に向けられてる大きな瞳は

誤魔化す事も嘘をつく事も許されないような、そのあまりにも綺麗な真っ直ぐさに思わず惹き込まれそうになる

ふぅ、と息を吐いて目線を落とした

…女々しくて情けないこんな話、誰にもするつもり無かったんだけどな…




_

☾→←寝待月



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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