影ノ守り人 参 【炎炎ノ消防隊】

玖拾肆 ページ7

｢いやもしかしたら、アーサー以外でもそうなってたかもしれないし｣




……多分ならないのは、わかっているんだが。







｢あぁもうさっきからつべこべ煩いな！！！｣





｢エッ｣





いやだって。色々突っ込みたくもなるだろうそりゃ。






｢俺はAのことが好きで、お前は俺のことが好きだ！わかったか！！｣






｢いやわかるかぁ！！！｣





そろそろ喉潰れそう。というか泣いた後にこれだけ叫んで頭が痛い。





｢そもそも！私は団長の影ノ守り人で！それは変わらない事実で！だから私は、恋なんてしちゃダメで、｣





｢馬鹿者が！！｣





本日2回目。
いや私そんな馬鹿か。





｢役職のせいで恋が出来んなど、そんなことがあるか！大事なのは気持ちなんだ！｣





｢でも、｣





｢お前は気を張りすぎなんだよ。何にも縛られるな。自分の心に従え｣






｢それじゃあ私は、一体なんのために生きれば｣





｢今を生きる、自分のために｣





……今。





過去ではなく。





｢……私、もし団長が戻ったら、第8に居続けるか、わからない｣





｢そうだな｣





｢……それでも、いいのか？今の私では、将来を確約なんてできない｣






｢その時は、その時考えればいい｣






｢……ほんとに、アーサーのこと好きかどうか、私には分からないよ｣





｢俺が知ってるからいい｣





｢……私の、負けだ｣





完敗だよ。
全部ひっくるめて好きと言ってくれる相手に、勝てるはずもないのだが。





頭をわしゃわしゃされた。





いや髪の毛ボサボサになるからやめて。






｢よし、では我が姫！オリハルコンを探しに行くぞ！｣






｢あ、ごめんそれは無理｣





｢え！？｣

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