最終話 ページ16
「そういえば、姫」
翌日。
朝一番、挨拶もそこそこに聞かれる。
「顔がスッキリしてるが、昨日はどこへ何行ってたんだ」
「……あー……」
まぁ隠すことでもないか。
「……地下とは行ったよな?まぁ、その中でも思い出の場所へ行って、燃やしてきた」
ていうか顔スッキリしたってなんだ。
元々私どんな顔していたんだよ。
「?」
「あー……私の思い出ってのは、悪いものなんだ。痛めつけられていたその場所を、過去を吹っ切るために燃やしてきた」
……あ、そういや燃え移らないのかな。何にも気にせずに燃やしてしまった。
……まぁ大丈夫だろ。あの中のものさえ燃えてしまえば普通の炎で燃えるようなものは他には存在しない。
「……そうか」
何か言いたげな顔。
「どうした?」
「……いや。綺麗になったな、と思って」
「……うわ。聞かなきゃ良かった」
「なんでだよ」
アーサーにそっぽを向いて歩き始める。
あっという間に追いつかれて、振り向かされた。
「……真っ赤だな、A」
「……うっさい」
たまに名前呼んでくるのも、ズルいよなぁ。
「真っ赤でも、落ちこぼれなんかじゃない、強いAだよ」
「……そりゃどーも。」
覚えていたい過去と、忘れてしまいたい過去と、それでも覚えていなくてはならない過去と。
今と未来を生きていくために、取捨選択しなくちゃならない。
今の私に大事なのは、
団長が私を救ってくれたのと同じように、私も団長を救いたいこと。
第8への恩義を果たすこと。
……アーサーに、付いていくこと。
「……姫?早くしないと遅れるぞ」
「ごめんごめん、考え事してた」
これからどうなっていくのかはわからないし、そんなの誰も知らないけど。
今はこれで、十分だ。
キャパオーバーしないように、今を一歩一歩踏みしめて、上を向いて歩いていこう。
三柱目、ショウ団長の影ノ守リ人として。
第8特殊消防隊の隊員として。
……そして、
アーサーの、姫として。
……さぁ、次はどんな景色が待っているんだろう?
---Fin
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ユキぴょん(プロフ) - ノアさん» ありがとうございます〜泣ける感じにしたかったので、できてて良かったです……!作者冥利に尽きますヽ(*´∀`)ノ (2020年11月9日 22時) (レス) id: eec7be5830 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - まってぇ、、、涙出てきた(( (2020年11月9日 21時) (レス) id: 446b9f453e (このIDを非表示/違反報告)
ユキぴょん(プロフ) - かぼちゃさん» ありがとうございます〜!感想とても嬉しいです(●´▽`●) 次回作もそろそろ構想練り始めているので気長に待っていただけると幸いです(´˘`*) (2020年10月4日 18時) (レス) id: 2d77a5e8ac (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃ - 完結おめでとうございます!!アーサー、その他キャラの性格や口調がつかめていて、違和感なく読めて面白かったです!!次の作品も楽しみに待ってます♪『影ノ守り人』の連載、お疲れさまでした。 (2020年10月4日 3時) (レス) id: a71fca1158 (このIDを非表示/違反報告)
ユキぴょん(プロフ) - あおりさん» あおりさん!ありがとうございますヽ(*´∀`)ノそのお気持ちが本当に嬉しいです……!!次回作もまたのんびり作りますのでお時間ある時に読んで頂けると嬉しいです(´˘`*) こちらこそ本当にいつも応援ありがとうございました!! (2020年10月2日 22時) (レス) id: eec7be5830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻利亜 | 作成日時:2020年9月20日 21時