誘拐 8 ページ8
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「おや、泣かないでくれ給え…
ごめんね、少しいじめすぎたね。
これ以上食べないままだと危険だ、何か食べられそうな物を持ってくるよ。」
『や…い、らな…!』
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私の大好きな食べ物を熟知している太宰さんは、私の好きな食べ物ばかり運んできた
空っぽな胃の中に突然流し込まれた食物に胃が困惑し、半分戻してしまった
幸い、すぐにお手洗いへ駆け込んだので太宰さんに汚い姿は見られなかった
「もう大丈夫?お腹いっぱいになったかい?」
『は、い…ありがとうございます』
「いいのだよ、Aちゃんを誘拐してきたのは私なのだから、Aちゃんの身の世話は全て私がする」
太宰さんの口から出る言葉は、今の私を縛り付けておくのにはピッタリで
まだ誘拐されて初めて食事を摂ったばかりだというのに、既に太宰さんの支配下に置かれているという事実を受け入れつつあった
『あの、太宰さん…』
「ん?何だい?」
『ちゅ…や…中也は…どうしていますか?』
彼の顔から笑顔が一瞬にして消え去り、真顔になる
真顔ではない、これは、彼は
明らかに、とてつもなく怒っている
「……その名前、2度と口にしないで」
『な、んで……?中也は……中也は、私の夫なの…に…!!
中也に、会いたい…中也の所へ帰りたい……帰りたいよ……ッ』
中也の名前を口にすればする程、中也が頭に浮かんできて
小さくてもたくましくて、いつも優しくて私を大切にしてくれて
大好きで、愛している、私の夫の所へたまならく帰りたくなって
今頃、中也は何をしているのだろう
私を、探してくれているだろうか?
それとも、そんな暇もないくらい激務に追われているのだろうか?
それでも、中也が、私の事を探していなくても
私は中也の元へ帰りたい 中也に抱きしめてほしい
「……ねえ、私言ったよね?
────────中也なんて名前、2度と口にするな」
『………ッ!!』
ぐらりと揺れる瞳から、例えようのない程殺気を感じる
今すぐにでも私を殺してしまいそうな目が私を捉える
『も……いや…………だ…』
「……………そんなに私を怒らせて、Aちゃんはどう責任を取ってくれるんだい?
もう、2度と、中也の名前も
帰りたいなんて言わせないように、躾が必要だね。」
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時