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「Aちゃん」
ちゃん付け?
私を呼ぶ声が直樹ではない……
それだけはわかる
そっと目を開けると社長がいた
安心したのか震えが少しだけおさまった
そう思ったらまたすぐに身体が小刻みに震えてくる
社長の後ろに直樹の姿があったから
私の強ばった顔を見て状況が分かったのか
社長は何も言わずに手を握ってくれた
また少しホッとして目を閉じる
その瞬間私の冷たくなった唇に温かい何かが触れた
驚いて目を見開くと目の前には社長の顔
……!
何これ
なんで今キスされてる?!
暫くすると社長の唇が私の唇からそっと離れる
「もうこれで大丈夫かな」
何を言っているのか分からなくて身体がフリーズする
「ん、あの人Aちゃんのストーカー?元彼とか?今婚約者さんいるもんね?すごい怖い顔してたし、Aちゃんもすごく震えて逃げてたから」
元彼には元彼なんだけど…
あのリングを贈ってくれた人だとは言えない
社長に言っても困らせてしまうだけだから1度だけコクッと頷く
「そっか、怖かったよね
あの人俺の事見て逃げていったからもう大丈夫だとは思うけど」
まだ震えが止まらない私の身身体をヨシヨシしてくれている社長
「このことしっかり言うんだよ?婚約者さんに」
深呼吸をする
「私、婚約者いないです………………
あの…助けてくれてありがとうございました
助かりました……っ」
安心したのか私はその場に崩れ落ちて泣いてしまった
「いいよ、泣いてもいいよ俺ここにいるからね」
まだ背中を摩ってくれていて私もその優しさに甘えてしまう
「ごわがっだでず〜〜ヴヴヴ〜〜〜〜〜」
深くは何も聞いてこない所が社長の優しさなんだろうと思った
ただ私が落ち着くまで一緒にいてくれて
帰りはうちの前まで送ってくれた
「俺で良かったらいつでも話聞くから、また明日ね」
最後に頭をポンポンとしながらおやすみと帰っていった
仕事中はいつも''僕''なのに''俺''だったのが少し気になった
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作者名:mi. | 作成日時:2020年7月30日 22時