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『お生憎様、言われ続けてますわ』
「俺の回答覚えてる?」
『悔しいくらいにはね』
今でも鮮明に覚えている。
伊沢の悩む顔。
探していた記事が見つからないまま放置された開きっぱなしの本。
真っ白だった図書館に、ガラス板の机。
「あれさ、変えるわ」
『え今?』
「俺はね、無理だと思う」
数年前私と初めて会った時の笑顔とは違う、心からの笑顔だった。
「よくよく考えたらお前みたいな奴が1人で生きていけるわけねぇんだよな」
『失礼な』
「だってさ、秀才なだけじゃん?本当のAを誰も知らねぇもんな」
言葉が出なかった。
伊沢は、コイツは、私のことを見ている。
今でもそう。本物の私を見抜いている。
「本当は誰より弱くて、寂しがり屋で、努力家で、強がりで、意地っ張りで」
『……なんで、わかるの』
きっと伊沢にだってその話はしていない。
あの質問も1度きり。
『………全知全能?』
「違ぇよ、知りたい?」
『知りたい』
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____好きな奴のことはさ、なんでも知りたいしよく見てるから分かるんだよ。
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心から涙がこぼれた気がした。
『………でも、1人で生きられるって素敵なはずでしょう?』
「1人で生きられても生きられなくてもお前の傍には俺がいるんだって」
『私自身を幸せに出来るのは私だけなのに』
「じゃあ、Aが自分を幸せに出来るようにまずその分俺がAを愛せばいいだろ」
『………もう、』
机が濡れた。
「無理すんじゃねぇよ、ばーか」
伊沢の大きな手が私の頭に乗った。
『もっとロマンチックな告白がよかった』
「恋愛偏差値2の俺にはあれが限界」
『………ありがと』
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あの言葉から逃げるんじゃなくて
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その言葉を胸に誇りを持って生きていきたい
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胸を張って、誰かを愛したい
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大丈夫
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貴方とならきっと
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宇海 - 朝陽さん、勉強も更新も、頑張ってください!土曜日を楽しみに待っています。 (2021年3月4日 9時) (レス) id: 46e3728793 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 宇海さん» 私の影響で執筆を始めてくれる方がいらっしゃるとは光栄です………!!私なんかでよろしければアドバイスします!参考にするのはいいですけど、内容が似すぎるとパクリ疑惑が浮上するのでそこだけお気をつけて!! (2021年2月22日 17時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
宇海 - 宇海さん» ありがとうございます!とても面白かったです!朝陽さんの小説はとても自分に合っていて読みやすいです。あと、実は朝陽さんの影響で私も小説書き始めたのですが、参考にさせてもらっていいですか?ぜひ覗きに来て、アドバイスください!(Umi_砂糖) (2021年2月22日 9時) (レス) id: da71833246 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 宇海さん» Kwkmさんお待たせしました………!投稿したので是非♪ (2021年2月20日 15時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - ちひろさん» はじめまして!コメントありがとうございます♪tmrさんhappyendですね、書かせていただきます!お知らせの通りですので、よろしくお願いします。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝陽 | 作成日時:2021年1月24日 21時