6、私付きの女官(花嬪視点) ページ7
さて…
王様のお見送りもしたし
私もそろそろ挨拶回りしないと。
でも、どこに誰の部屋があって
どこにどの部署があるのか、さっぱりわからない。
「どうしたものでしょう…」
と思わず声が出たとき
「花嬪様、失礼いたします」
と二人の女の子が部屋の中へ入ってきた。
服装から女官だということは、すぐにわかった。
「お初にお目にかかります。
花嬪様付きの女官となりました、さくらと申します」
「同じく花嬪様付きの女官、亜弥と申します」
しっかりしている二人。
こんな二人が私についてくれるなんて
どれだけ心強いだろう。
「さくらさんと、亜弥さんね。
これからよろしくお願いします」
「花嬪様、私たちに敬語はおやめください」
「そうですよ。花嬪様は王様の側室です。
私たちを相手に敬語で話していては威厳が保てません」
さっそく、さくらさんと亜弥さんに叱られてしまった。
「花嬪様が私たちに敬語を話すと
花嬪様だけでなく、私たちも罰せられます。
慣れないとは思いますが、ご理解ください」
私が悪いのに、彼女たちが罰せられるのは
絶対に良くないし、絶対に嫌。
今のさくらさ…さくらの発言だって、
相手によって捉え方が違う。
それだけ厳しい世界。
「そうね。これからは気をつけるわ。
さくら、亜弥、王妃様にご挨拶にうかがうから
支度を手伝ってくれる?」
『はい、花嬪様』
私の言うことに、とても嬉しそうに
声を揃えて言った、さくらと亜弥。
女官たちは幼い頃から親元を離れ、
王族に仕えるべく教育されてきている。
きっと二人は、ずっと仲良しなのね。
見ていて微笑ましい。
「王妃様に挨拶した後、大妃様のところへも行って、
その後は宮中を案内してくれる?
来たばかりでどこに何があるかわからないの」
「承知いたしました。
ですが、ご無理はお控えくださいませ。
まだ慣れていない環境でしょうから」
「ありがとう、亜弥」
出会ったばかりの私を
これだけ気遣ってくれる彼女たちは
本当に優しい人なんだと思う。
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