21、複雑(真咲視点) ページ22
月日が流れるのは早い。
咲が側室になって、
二ヶ月が過ぎようとしている。
どんどん王族らしく気品が溢れ、
魅力的になっていく咲。
誰よりも女官たちを思いやり、
俺たち護衛にまで気を配ってくれる。
そんなに気にかけて疲れないのか?と思うけど
あんなに幸せそうな咲を見たら
何も心配することはなさそうだ。
そう思っていたのに
バタバタと医女たちが
咲の部屋を出たり入ったりしている。
※医女→女の医者または看護師。
もしかして、咲に何か…
「雅!橙摩!花嬪様に何が!?」
「それが俺たちもよくわからないのですが、
別に悪い様子ではないんですよ」
「え?」
「あれだけ慌ただしくしている医女たちが
険しい顔どころか、めちゃくちゃ笑顔なんですよ」
「それって…」
「真咲!」
橙摩と雅に話を聞いてるところへ、
健水くん…王様と、王妃様が来た。
「王様」
3人で王様である健水くんに礼をする。
「一体、花嬪様に何が?」
「俺と、かなが来てるんやで?
なんとなく察しはつくやろ?」
「まさか…」
「王様」
俺の察しがついたとき、後ろから医女が来た。
「それで、花嬪はどうなん?」
「王様、おめでとうございます。
花嬪様がご懐妊しました」
「えっ、ほんまに…?ほんまなん?」
「はい、王様。お喜び申し上げます」
「…王様、おめでとうございます」
王妃である、かなさんの言葉に
少しだけ複雑な表情を浮かべた健水くん。
それは俺も同じだったと思う。
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