14、月明かり(花嬪視点) ページ15
「はぁ…」
夜の王宮内散歩。
なんとなく、じっとしていられなくて
外の空気を吸いに出た。
「王宮内でも、王宮外でも、見える月は同じね」
さくらや亜弥たちとは距離があるから
今のは独り言。
今日は一日、自分の心の起伏に振り回された。
王様にドキドキして、
王妃様にヒヤッとして、ほっとして、
さくらと亜弥に安心して、
大妃様、父上に動揺して、
真咲に怒って、
安心した…というか、なんというか…
どんな言葉が合うのだろう?
よくわからないけど、知ってる人がいることに
これほど心が落ち着くとは知らなかった。
何もかも、父上や王様のおかげね…
私も、もっと、しっかりしなきゃ。
「花嬪、散歩か?」
「王様」
その声で、すぐに王様とわかり
王様に軽く礼をした。
「今日は月が綺麗やなぁ」
「そうですね」
王様と二人で月を見上げた。
同じ月のはずなのに
王様と見ると月明かりが優しく感じられる。
本当に不思議…
「まだまだ、ここでの暮らしは慣れへんと思うけど
しんどくなったら言うてな。どうにかするから」
「お心遣い、感謝いたします」
本当に、お優しい方…
早く環境に慣れて、恩返しをしなくては。
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