君に触れたい (ページ47)

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47、健水視点ページ47

本当に紫織がいないのか確かめるために
紫織の部屋へ向かった。

紫織｢健水、さん…みなさんまで、なんで…｣

そこにいたのは紫織と

怜｢2人とも、何してんの…？｣

エミと真咲、空のダンボールの中で丸まってるブラン。

真咲｢何って、バイトを…｣

健水｢なんで、こんなにダンボールがあるん？｣

エミ｢そ、れは…｣

誰も何も答えへん。

光黄｢本当にフランスに帰るの？｣

紫織｢…はい。明日、朝一番の飛行機で帰ります｣

紫織は作業の手をとめず、誰の目も見ずに答えた。

紫織｢ここにいられると作業の邪魔です。
帰っていただいても良いですか？｣

今までで一番、冷たい言葉。

健水｢なんで…？なんでなん…？｣

光黄｢健水くん…｣

健水｢なんで何も言うてくれへんかったん！
短い時間でも、一緒におったやんか！｣

ｼﾝ…と一気に部屋が静まり返った。

突然、大きな声出したから、
ブランがびっくりして紫織に擦り寄った。

紫織はブランを抱いて

紫織｢言えば、離れられなくなるから…｣

って、かろうじて聞き取れる大きさで呟いた。

紫織｢私にとっての母国はフランスです。
そして私が母にできる最後の親孝行は
母の遺骨を母国へ連れて帰ること。
娘の私が最後にできることをやり遂げたい。
でも、健水さんや、みなさんの顔を見たら、
声を聞いたら、離れがたくなる…だから…｣

紫織の瞳から一雫、ブランの頭に落ちた。

紫織｢だから、黙っていたのに…
怜さんとカナエさんは来れないだろうと
手紙にしたのに、来ちゃうんだもん…
健水さんも、光黄さんも…なんでですか…｣

と、紫織の涙が溢れていった。