君に触れたい (ページ5)

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5、真咲視点ページ5

今からオンライン授業だからって
すぐ彼女の部屋を出た。

光黄｢紫織の印象は？｣

真咲｢めちゃくちゃ可愛い子でしたね｣

エミ｢お人形さんみたいでした。でも…｣

光黄｢でも？｣

健水｢心の無い笑顔やったな｣

健水くんの言葉を聞いて、光黄くんが溜息をこぼした。

光黄｢…やっぱり気づいた？｣

真咲｢そうですね…言葉と表情が一致しませんし…｣

あれで気づかない人は、いないと思う…

エミ｢それに前例があるからとか、辞めて良いとか、
働いて欲しくなさそうでしたし…｣

会って早々に、そんなこと言うかな？

よく、わからないけど…

光黄｢気づいてくれたから知ってる限り話すよ｣

光黄くんは、また俺たちを客間に通して
なるべく小さめの声で話し始めた。

光黄｢海外に住んでいたときの召使いたちは
紫織の母親に強く当られることを理由に
よく辞めていた。
だから自分の世話をしてくれる人たちは
自分のせいで仕事を失くすって考えが
今も濃く残ってる。否定はしたんだけどね｣

健水｢なんで、強くあたられるん？
彼女は大切な一人娘じゃないん？｣

光黄｢身体の弱い紫織を快く思ってなくて
紫織の世話は召使いがやってたって。
あの見た目だから、母親は紫織を
着せ替え人形ぐらいにしか思ってなかったとか…
父親である当主の息子も紫織には
深く関わろうとしなかった｣

エミ｢そんな…｣

彼女は愛されることなく、ここまで…

光黄｢紫織の両親は火事で亡くなって
紫織はその後一年間、行方不明だった｣

え…？