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◯(佐久間side) ページ22

テレビを観たいっていう阿部ちゃんたち。Aちゃんには観せたく無さそうだったから、とりあえず寝室へ誘う。
言い方あれだけど、寝室しかリビングから離れられる場所無いし!ここかトイレかお風呂だもん!

…リビングの音が聞こえないように、たくさん話しかけるけど…Aちゃんはやっぱどっか上の空で。
まぁそうだよね、状況が状況だもん。




佐「…Aちゃん、大丈夫だよ」

A「…」

佐「俺らは、大丈夫」

A「大丈夫じゃないですよ…」

佐「大丈夫だよ」

A「今までみなさんが頑張ったことも、ぜんぶ私の枕の成果みたいになってて、汚い仕事の取り方して得たものみたいになってるんですよ?みなさんの努力が、ぜんぶ、無かったことにされて、こんなに、頑張ってるのに、」

佐「……っ…大丈夫…大丈夫だから」




ぎゅって抱き締めるけど、震えも嗚咽も止まらない。
俺はただ、大丈夫って言い続けるしかなくて。もどかしかった。





.





.





コンコン
と、寝室のドアがノックされて。開けたのは、阿部ちゃん。
そっと入ってきてくれる。




阿「ごめんね、おまたせ」

佐「にゃす。Aちゃん、リビング行く?」

A「……はい」




腕の中のAちゃんに声をかけると反応してくれたから、ちょっとだけ安心して、手を引いてリビングへ行く。お皿とかは阿部ちゃんが持ってくれた。
リビングには苛ついた表情の翔太がいて。ことの重大さを、察した。




佐「…っ…Aちゃん、さっきのお惣菜、持って帰れるように包んでくんない?ほら、翔太と阿部ちゃんはどれ貰ってく?」

阿「あっ…じゃあ俺はこれをいただきたいです」

渡「……逃げてばっかもいられねぇだろ。楠、」

A「…っはい…」

渡「テレビ、観ろ」

阿「翔太なに言って…」

渡「こいつだって知りたいだろ。観ろ。ほら、佐久間も」

A「…」

渡「メンタルきたら、佐久間がいる。俺もいる。阿部もいる。ほかの6人もいる。みんなお前の味方だ。だから大丈夫だから」

A「……っ…はい、観ます!」





…眼に光が宿った。

悔しいんだけど、こーゆーのは俺にはできない。守ってあげたくなっちゃう。ぎゅーしたくなっちゃう。
Aちゃんは、弱いけど、強い子だから。守られるばっかりの子じゃないって、わかってんのにな。

Aちゃんの手を握って一緒にソファに座ると。俺の手を握り返してくれて…
ちょっとだけ優越感に浸るのは、許してほしい。

◯(渡辺side)→←◯(阿部side)



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作者名:まめ | 作成日時:2023年2月2日 6時

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