蚊帳の外の話

番外編 ある日の帰り道 ページ27

(岩本side)



あれから1ヶ月。



俺らは、３年になった。



情報工学科の教室に佐久間を迎えに行くのも、毎日のルーティンになった。
Aは毎日勉強で忙しそうだし、勉強以外でも忙しそうだし。
俺はもう、推薦もらうことが決まっていて。ほどほどに受験勉強を進めながら毎日過ごしている。




気がかりなのは、佐久間。
最近、なんか悩んでる。






岩「さくま、帰ろ」

佐「あ、うん。じゃあね、阿部ちゃん」

阿「うん。早めに決めなよ」

佐「…うん」





悩みごとは、多分この科に関係すること。よく阿部に相談してるみたいだし。
…俺が力になれないのは、寂しいけど…けど、わかる人間に相談した方が、さくまのためになるのはわかってるから、あえて触れないようにしてる。




岩「今日さ、駅前の広場にタピオカのワゴンが来てんの。付き合ってくれない？」

佐「行く！ひかるタピオカ好きだねー！」





そんなに食べてると目がタピオカになっちゃうよーなんて笑ってるけど…空元気なのは、丸わかり。元気にさせたいんだけどな。いつもの、太陽みたいな笑顔をまた見せてほしい。





佐「おれいちごミルク！ひかるは？」

岩「ココア」

佐「だよね笑」

岩「俺が買ってくから、あのへん座ってて。おれの場所とっといてね」

佐「にゃ！りょーかいでありまぁす！」





木陰のベンチに座って。ほら、ため息。
なんなんだろうな…そろそろ聞いてもいいかな…





岩「はい、いちごミルク」

佐「にゃ！ありがとう！このお金はこんど購買おごるね！」

岩「うん、ありがと」





いいんだよ、お金なんて。それより。





岩「…なに、悩んでるの」

佐「……え？」

岩「なんか悩んでる、でしょ、最近」

佐「あ、あ―――…」





わかりやすく目をそらす。
俺？原因、俺なのか？
え、別れるとか言われたら…泣く…





佐「……大学を、ね」

岩「うん」

佐「ひかると同じとこ行きたいって行ったら…引く…？」






岩「…え？」






いやだって。
俺が行きたい大学は、申し訳ないけど佐久間の学力ではワンランクあげなきゃいけなくて…かなり勉強しないと難しい。勉強すればいけるかなってレベル。
佐久間が最初に言ってた志望校は、自分のレベルに合ったとこだったじゃん！





佐「やっぱ…いや？」

岩「嫌じゃないけど…え、なんで？」

佐「なんでって……そりゃ…」






また、俯く。

え？

なんで？

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