幼馴染からその先へ【双星の陰陽師】

第十七話 ページ27

憲剛side

体に巻き付いた蛇から逃れるように体をうねらせる。
「七恨縛鎖！」
止縛法を勘久郎が解き、次の瞬間憲剛が更に上位の七恨縛鎖をかける。七恨縛鎖は呪力も封じることが出来るので美玖を縛っていた何かが解ける。
「はぁはぁはぁはぁ‥‥‥」
日ごろ鍛えているとはいえ、七恨縛鎖はかなりの呪力を消費する。
乱れた息を整えながら、集中力を切らさないように気を付けながらAを見つめる。
「んー！んー！」
いまだに大人しくならないAを見て、元気なところ(？)は変わらないなと思う。
「みんなー！見つかった‥‥‥よ」
ほこりをかぶりながら、手に一冊の本を持った女性が廊下から――廊下以外にこの部屋にこれる通路は無いが――パタパタと走ってきた。元気にやってきたが、この部屋の有り様をみると、さっと顔が青くなっていった。
「‥‥‥阿月、これはどういうことだ？黄金は？」
阿月、目の前でじたばたと暴れているAの母親だ。
静かに、美玖が阿月に問う。
「‥‥‥あ、はいっ！黄金さん、ですか？黄金さんはみんなとここでAの相手をしていると」
「つまり‥‥‥黄金小父さんは」
思わず、語尾を濁す。
「ええ。そうみたいだね。憲剛君」
力なく憲剛に微笑みかける。
「それより、阿月小母さん。見つかったって、何がっスか？」
「あ、あぁ。このことなんだけどね」
勘九郎がきくと、阿月は手に持っていた本を見せる。
「急に様子がおかしくなったから。ほら、家の地下って、大きな書庫になってるでしょ？そこに対処法があると思って、その本を探してたんだけど」
「僕たちに知らせに来たのは阿月小母さんスか？」
「ううん。私じゃないわ。多分、黄金さんが援軍を呼ぶために傘下の方に頼んだんだと思うの」
どんどんと阿月に遠慮なく質問する。勘久郎の質問にすらすらと阿月は答えていく。
「そうスか」
「なあ阿月。その本には何が書かれていたんだ」
次は美玖が阿月に問いかける。
「実は、今回の儀式が問題だったんです」
「失敗したのか？」
「成功しましたよ。この儀式は私も、黄金さんもやりましたが、失敗に終わりました。これは、凛凪家に代々受け継がれている式神の力を自らの物にするためにする儀式なんです。私達はできませんでしたし、お義父さんもお義母さんも出来ませんでした。ひいひいお爺さんが出来たみたいですけど‥‥‥まぁ、それは置いといて、強い力の反発によって、今までAの中の陰の気がケガレとなり、Aの中で暴走している様子なんです」

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