第七話 ページ16
憲剛side
「…僕は、親友失格っスよ。友達の一人も守れない、不釣り合いな幼馴染なんスよ」
最近調子が悪く、風邪かもしれないと、幼馴染のいる水度坂医院に来た。
勘久郎のいるところを寧々に聞いて、診断してもらおうと行ってみると、中から重々しい声が聞こえた。多分、勘久郎だろう。
憲剛以外に幼馴染と、親友と、そう勘久郎が呼ぶのは、彼女――Aしかいない。
その言葉を聞いた瞬間、憲剛は扉を思い切り開けた。
どういう意味だ
そう言ってやろうと思ったが、一人言じゃなかったようだ。部屋には女性がいて、どうやらその人に話をしていたようで、いきなり現れた憲剛を見て、彼女は驚いていた。確かに、勘久郎は誰かに言うような口調だったから、一人言じゃないことぐらいわかったはずだろう。ただ、冷静ではなかったのだ。
幼馴染が安心した風に力を抜く。
「…憲剛」
「すまん。勘久郎、そこからは俺に話させてくれないか」
「いいっスけど、自己紹介したらどうスか」
「あ、ああ…」
そうだ。礼儀なんか頭からごっそり抜け落ちていた。
そのことに、まだAのことをしっかり覚えていると思うと、安心した。いつか、彼女のことを忘れてしまうかもしてない。もしかしたら、彼女はもう、自分たちのことを覚えていないのでは?そう、不安になってしまうのだ。
「俺は十二天将玄武、雲林院憲剛だ」
「申し遅れました。私は凛凪家当主、凛凪A様のメイドを務めさせていただいております。鼓童花鈴蘭と申します」
凛とした眼差しを憲剛と勘久郎に向ける。
(十二天将が二人もいるってのに、凄い精神だな‥‥)
内心、鈴蘭の態度に感心してしまっていた。大体の人間は十二天将が二人も同じ空間にいたら、怯んでしまうだろう。
「盗み聞きというのは悪かったと思う。二人ともすまなかった」
急に頭を下げた憲剛に驚いたようで、二人とも、言葉を失っていた。
「どうしたんスか。らしくないスよ、憲剛」
頭でも打ったんスか、と訊いてくる幼馴染。
この場の空気を和らげようとしているのが分かるが、イラつく。今は、大事な話をしていたんじゃなかったのか。冗談を言える精神はどうかしている。
思わずそんなことを考えてしまったが、勘久郎も勘久郎なりに必死なのだ。心の中では、かなり焦っているはずだ。やっと決心して憲剛にとっても、勘久郎にとっても、辛い過去を話そうとしたときに部外者(そうとも言えないが)が入ってきて、勘久郎はかなり荒れている。
変なとこで切ってすいません
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どこんじょう(処罰対象) - 弓乃さん» こちらこそよろしくお願いします! (2019年3月22日 21時) (レス) id: 45a23aa5e3 (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - どこんじょうさん» 遅れてごめん!明けましておめでとう!ID違うけど私だよ!今年もよろしくお願いします!!! (2019年2月3日 16時) (レス) id: 7a5e1ee815 (このIDを非表示/違反報告)
どこんじょう - 新年明けましておめでとうございます!今年も期待して続きを待っています! (2019年1月1日 22時) (レス) id: 5e33bfab9e (このIDを非表示/違反報告)
どこんじょう - 弓乃さん» いえいえ!ってか、じぶんのほうが頑張らなきゃいけないっていう...展開は重要ですのでじっくり考えてください!私はいつでも暇なのでいつまでも待てます!過去編は長くてもいいんじゃないかな?過去編って重要だし。頑張ってください! (2018年12月29日 17時) (レス) id: 5e33bfab9e (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - どこんじょうさん» どこんじょうちゃん!お久だね。今ちょっと展開を考えてて‥‥‥全然更新できてなかったんだけど、どこんじょうちゃんがそう言ってくれるなら頑張ろうかな。有難う。感心であってるよ。過去編長くてすまんね。才能、かぁ。私なんかは全然だよ、でもありがとうね。 (2018年12月28日 17時) (レス) id: 7a5e1ee815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弓乃 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/novel/mamamitu/
作成日時:2018年3月3日 20時