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その20 ページ20




確実に裏がある。そう思ったのは割と最初の方だった。


「どうしてそう思う?」

「私の個人情報を無駄に知ってるあなたなら、私の家の事情も知ってるのではと思って」


そう言うとその淡い色をした前髪を掻き上げる先輩。無駄にイケメンで本当に腹立たしいこと限りなし。


「お前にしてはよくできました、というところだな」

コイッツ…何ですかその言い方!!

「当たり前じゃないですか、気づかない方が馬鹿ですよ」

「ほぅ?」

本当になんなんだこの人は。再び紅茶を1口。



「……とある人物に頼まれたんだ」


少しの沈黙の後に口を開いたのは先輩だった。


「お前の母親に脅迫状が届いただろう」

数日前、会社の郵便受けに入っていた、一見何の変哲もない茶封筒。

その中身は新聞の切り抜きで

「『会社を明け渡せ、でないとお前の娘がどうなっても知らない』と。まぁ、相手が誰かわからなくてどうしようもないんですけどね」


まったく困った脅迫文である。

犯人は少し抜けていたのかな?愉快犯なら勘弁して欲しいほんとに。


「それで俺の先輩に直接頼まれたんだ。お前の軽い身辺警護をな」

「なるほど…?」


少し驚いた。警察ってそんなこともするのね。

それにしても先輩の先輩に直接とは?命令ならまだしも頼まれたって?うーん、わからない。

改めて聞いて言わないところを見ると教えてはくれないのだろう。


またティーカップを手に取ったがいつの間にか中身は空になっていた。

その様子を見てまた先輩が紅茶を入れてくれる。

「ありがとうございます。」

喉に通すと少し味が変わっていた。多分これはセイロンかな。

飽きないようにという気遣いだろう。

こういう小さな気遣いが本当にずるい、ムカつく。ハリネズミだったくせに。


「で、その状況を知っている癖になんで私を連れ出したんですか」

今まで余計なことまで聞いてきたけどそこが1番の疑問点。

一応狙われてる身なんだから出歩かない方がいいのでは?


「言っておくが家が安全だとは限らないんだ。下手に一人でいるより俺といた方が安全だからな」

「うっわぁ、自信満々ですか、ナルシストですか、引きますよ?」

「勝手にしろ。お前に引かれたところで俺にはなんの影響もない」

ちっ。


わざと聞こえるように舌打ちを零して紅茶を飲み干した。

先輩の呆れたような溜め息が定休日の静かな店内に溶けていった。

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いちごきゃらめる(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです!続き気になります (2021年2月24日 3時) (レス) id: 654b6b5b60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年7月13日 0時

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