39 - 高2 花火大会 ページ40
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侑李「…落ち着こうか。ちょっとここ座ってて。ラムネかなんか買ってくる」
祭り客用のイスが空いていたので座らせてくれた。
人混みの中に消えていくちーちゃん。
“花火の丘”…嫌な思い出が出来ちゃったな。
忘れたい。でも忘れられない。
気になって仕方ない。
この人混みの中で大ちゃんは何してるだろう…
なぜか足が勝手に動いてしまった。
ー
“花火の丘”
ここは10年以上幼馴染の思い出の場所として使ってきた特別なもの。
特別だと思っているのは私だけかもしれない…
小さい頃、ここで私達は一緒に花火見て、親からもらった小遣いで食べ物買ったな…。
かき氷食べて、頭痛てぇ〜、って言う大ちゃんを見て笑った。
ちーちゃんが「ばかじゃないの」って言う流れまでを横でにこにこして見るのが好きだった。
「…！」
誰の仕業だろう…
昔からお世話になっている神社の神様の仕業かな。
花火の丘を歩いていたら、目の前に現れた人影。
大貴「…よぉ。こんなとこで何してんの？」
スマホをしばらく操作して、ため息をついてまた私に顔を向けた。
日が沈んだので、薄暗いこの場所。
一瞬、スマホの明かりで見えた顔、困ったような表情に見えた。
「…夕方、ここにいたね。琴ちゃんとふたりきりで。」
し、しまった……
そのことばかり頭に浮かんでたから、話題を振ろうとしたらつい言ってしまった。
大貴「え…もしかして…聞いてた？」
焦った様子の大ちゃん。
「遠くにいるな〜って見えただけだよ。声かければ良かったかな…」
そういえば話すのってあの時以来だ。
部屋で…キスされた時。
大貴「そっか…あっぶねぇ……」
顔を手で覆って何かをぼそっと呟いた大ちゃん。
愛の言葉でも囁いてたの…？
大貴「あの……琴ちゃんはさ、ただの後輩だから」
「…え？」
大貴「だから…ただの後輩。マネージャー。
ま、多分もうすぐそうじゃなくな……あ！」
自分の呟いた言葉で、やべっ、てどもる大ちゃん。
……どういうこと？
「何とも思ってない子と……キスしたの？」
じゃあこないだ私にしたのもそうなんだ。
大貴「…見てたんだ」
大ちゃんを睨みつけた目を逸らさない。 目からぽろぽろ流れるものはもうどうでもいい。
私の顔を見て、少し困ったように頭の後ろを掻いた。
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年7月19日 0時
