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美波ちゃんが話すエピソード。 芸能界っていう特殊な世界に入った後も、私とちーちゃんの事をたまに思い出してくれてたんだって思ったら胸がいっぱいになった。
好きになってからずっと辛かった…
でも、アルバムを見る大ちゃんを想像したら『幼馴染で良かった』って久しぶりに思えた。
美波「大貴から聞いてるかもしれないけど、私下積みが長くてね。なかなか芽が出なかったの。
6年目で大貴と再会して、それからも同期はどんどん売れっ子になるのに私だけダメだった。」
暗い表情の美波ちゃん。
それがどれだけ辛いものなのか業界を知らない私には分からない。
美波「どんな仕事でも一生懸命取り組んだつもりだった。でも結果が何も出なくて10年目、精神的に病みかけた時だった。
ご飯誘ってくれた大貴に言われたの」
(大貴「辛さを完全には分かってあげられない。
でもその下積み時代は無駄じゃないってことだけは言えるよ。
俺が知ってるここ数年の美波は凄く成長してるし、周りの人も評価してる。 俺は竹村ミナの大ファンだよ。
自分をそんな風に言わないで…信じて」)
美波「大貴がいなかったら、今のミナという女優はいないの…」
そう言った彼女の目からぽろぽろと涙が溢れた。
私にはその言葉をかけた当時の大ちゃんの表情までも鮮明に見えた気がした。
くしゃって笑う顔。
へへってふざけて人差し指を鼻の下に当てるあのポーズ。
オレンジ色に輝く太陽のような彼。
生きていく中で苦しいこと辛いことは当然誰にでも起こる。
心の中がどんよりした曇り空に覆われた時、雲の切れ間から降り注ぐ陽の光はオレンジ色の希望の光。
雲の間をぬって手を差し伸べてくれてるような錯覚を起こす。
「上を向いて」
「負けないで」
「俺がいるから」
…そう言ってくれてるみたいなんだよね。
私もここ数年、いや、物心ついた時からあの太陽みたいな彼に支えられてきた1人。
人生をかけて芸能界で懸命に勝負している彼女から……
太陽を……
大ちゃんを…
奪ってはいけない。
「っ……」
私の目から溢れるこの涙の意味はなんだろう…
美波ちゃんはすごく驚いた顔で泣く私を見ていた。
美波「そっか……」
その後、お酒が入った彼女はマシンガントークを繰り広げ、最終的にちーちゃんがお酒ストップさせてタクシー呼んで、滞在してるホテルに強制送還した。
嵐のようだった。
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月19日 0時